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2019.01.10

新時代へ・守る[6] 畳・畳床製造 佐々木正悦さん(石巻市)

完成した本畳床の裏側を披露する佐々木会長

 「本畳床は稲わらの強さ、柔らかさ、縫いの技術が生んだ傑作品。時代は変わっても絶対に守り、絶やしてはいけない」

 県畳床工業組合の理事長を10年間にわたって務め、畳・畳床製造販売などを手掛ける「和楽」(石巻市須江瓦山)の佐々木正悦会長(66)は、こう力説する。

 石巻産を中心としたササニシキやひとめぼれ、県産のつや姫などの茎の部分である稲わらを乾燥させると、畳の最も基本となる畳床の原料に生まれ変わる。稲わらを使用したのが本畳床と言われ、宮城県は全国一の生産量を誇る。

 畳床と言えば以前はイコール稲わらとされてきたが、時代の流れとともに、さまざまな材質が使われるようになった。現在、代表的なのが本畳床に加え、ワラサンド畳床、主流の建材畳床の3種類だ。

 佐々木会長は「本畳床は他に比べて重い上、購入時も値段が若干高いため、今では建材畳床が主流になっている。畳は中身が大事なのだが、そこまでチェックする人はいなくなりつつある」と残念がる。

 研究機関などの科学的データに基づいた本畳床のすごさには、正直驚かされる。天然素材であるため、6畳1部屋当たり約3リットルの水分を吸収。乾燥してくると、放湿するエアコン機能を備える。圧縮した稲わらは燃えにくい性質で、点火15分後には鎮火状態になる。また、弾力性にも優れ、長時間正座しても足が痛くなりにくいのも特長だ。

 何より佐々木会長が強調したいのは、長持ちの度合いだ。「1300年以上経過した今も、聖武天皇の寝床に稲わらとマコモの草などを使用した本畳が現存している。寺院などでは100年以上も持ったという実話がある」と説明する。

 東日本大震災後、仮設住宅で使用する畳の製造から運搬・搬入まで携わった。「てんてこ舞いの忙しさだったが、高齢者の方々から『やっぱり畳は温かくて、柔らかくて良いね』と言われたことがいまだに忘れられない。畳の果たす役割の重要性を改めて実感した」と振り返る。

 「和楽」は1889年創業の老舗で、今年節目の創業130年を迎える。佐々木会長は6代目。次男正人さん(33)は本畳床を作る職人としては全国最年少で、佐々木会長の願いは脈々と受け継がれている。「本畳床の素晴らしさを全国に発信していくのが私の使命。頑張っていきたい」と意欲を燃やしている。


※新時代へ・守る[5] 鯨歯工芸 千々松正行さん(石巻市)
http://ishinomaki.kahoku.co.jp/news/2019/01/20190109t13013.htm


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