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2019.01.09

新時代へ・挑む[5] 海外にコメ販売 いしのまき農協(石巻市)

米国で試験販売する「ひとめぼれ」の真空包装を行ういしのまき農協の職員=2018年12月、石巻市鹿又のいしのまき中央カントリーエレベーター

 武器は安全の裏付けと新鮮さ。いしのまき農協(石巻市)がコメの販路を求め、海外展開を加速させている。ライバルは国内の他産地。鍵は知名度の向上だ。

 同農協は昨年1〜9月、2017年産ひとめぼれ計34トンを台湾とシンガポールに輸出し、精米や弁当としてスーパーや百貨店で販売された。昨年は管内11の農家と法人が輸出用ひとめぼれを26ヘクタールで栽培、今年142トンを輸出する計画だ。

 産地間競争は過熱している。シンガポールでは日本米の販売量が年々増加。いしのまき農協の担当者が昨年訪れたスーパーには、15道府県前後のコメがずらりと並んでいた。輸出の先進地で観光地として名高い北海道の人気が高く、京都や金沢市は日本文化を前面に出した販促を繰り広げる。

 他産地と差別化し、知名度アップをどう図るか。編み出した解が「鮮度」「安全」だった。

 昨年6月、コメを真空包装し窒素ガスを充填する設備を備えたカントリーエレベーターを新設。鮮度を保ち長期輸送を可能にした。10月には国際水準の食品安全認証「ASIAGAP(アジアギャップ)」と日本版「JGAP」の団体認証を同時取得。いずれも全国の農協で初めての取り組みだった。

 両GAPは第三者機関が生産管理体制を認証し、国際的に安全を証明する制度。アジアギャップのチェック項目は166に及び、農薬の保管場所や施錠、農機の置き場まで守る義務がある。作業日誌の記載項目も詳細だ。

 昨年、輸出用米を2ヘクタールで栽培した農事組合法人こまつ(東松島市)の浅野勝則組合長(63)は「当初は面倒に感じたが、次第に意識が変わり作業が丁寧になった。海外で食べてもらえる喜びの方が大きい」と歓迎。「小さな法人が単独で認証を得るのは難しい。煩雑な事務手続きは農協が担ってくれるので現場に集中できる」と意欲的だ。

 いしのまき農協は現在、米国のスーパーで試験販売を行う。サンプルはレバノンにも送付した。20年度には消費大国・中国を視野に、作付けを45ヘクタールに拡大し、243トンの輸出を目指す。

 海外では買いやすい価格でなければ需要はなく、輸出米は経費や労力に比べもうけが少ないと言われる。

 それでも、いしのまき農協の松川孝行組合長(64)は「安定したコメ作りを継続するには市場を海外に求めなければならない」と強調。「国や自治体の助成を活用して生産者の所得に反映させながら市場を開拓したい」と歩みを進める。


※新時代へ・挑む[4] カヌー・カナディアン選手 永沼崚さん(石巻市出身)
http://ishinomaki.kahoku.co.jp/news/2019/01/20190108t13009.htm


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