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2019.01.01

石巻かほく&フォトノマキフェスティバル2018 入賞入選作品紹介

 石巻の「今」をテーマに、今年も力作が集まった「石巻かほく&フォトノマキフェスティバル2018」。それぞれの感性と視点で撮影した作品の中から入賞・入選の24点を紹介する。

 グランプリに輝いた相沢開さんの作品「朝霧」は、霧に包まれた石巻市中心部を近くの山から見下ろした一枚。幻想的な風景の中に、製紙工場の煙や住宅地が垣間見え、被災地の今を凝縮した作品として高く評価された。


<最高賞>

◆グランプリ
 「朝霧」撮影地・石巻市南境
  相沢 開(57)=石巻市万石町

 朝霧が街全体を包んでいました。トヤケ森山(通称馬っこ山)に登れば、雲海のような景色が撮れるかもしれないと、急いで車を走らせました。
 徐々に日が差し込み、今まで見たことのない美しい光景が広がりました。霧の流れを表現しようとシャッタースピードを調節。煙を吐き出す日本製紙石巻工場の煙突がくっきり写っているか、何度も確認しました。
 意識して写真を撮るようになったのは震災後。今まで当たり前に思っていた石巻の美しい自然や風物を写真に残したいと日々考えています。
【評】
 霧が街を覆い、製紙工場の煙突がうっすらと突き出ている。上空にはさまざまな形の雲があり、淡い光に包まれて美しい。近景を入れ込み、コントラストもしっかり出している。神の業がつくり出した景観を俯瞰(ふかん)で切り取り、石巻の新たな魅力を伝える。
 よく見ると煙突からは煙が出ている。霧の隙間からは街が見えており、大自然と人の営みを感じさせてくれる。
 霧が晴れれば全景が明らかになり、復興へと歩む現在の石巻が姿を現す。見る人に写真の奥深さを想像させる素晴らしい作品だ。


<審査員賞>

◆立木義浩賞
 「奇岩はどこ!!」撮影地・東松島市野蒜
  塚本 道治(76)=東松島市大塩

 震災後に一部完成した野蒜海岸の防潮堤。津波で犠牲者が出て、行くことさえ拒む人がいるような場所で2人組の女性に出会いました。ここに女性が来ることは珍しく、若い2人が防潮堤の上を散策している姿に精神的な復興を感じ、思わずシャッターを切りました。
【評】
 石巻地方の復興現況を如実に表している。防潮堤の上に若い女性が2人。散策しながら何を思っているのだろうと考えるのもいいし、この程度の高さで安全だろうかと疑問を呈しながら見ることもできる。
 背景には、女性たちが乗ってきたのだろうか小型の車、さらには飼い犬らしき姿が配置されて、女性たちとともに小世界をつくっている。被災した場所だが小さな幸せというものが凝縮されている。
 引きめの広い構図がいい。細部まできちんと写し出すデジタルカメラの特性を生かしている。


◆橋本照嵩賞
 「わたしたちの宝物」撮影地・石巻市中央
  大友 直美(48)=石巻市水明北

 石巻市中央の市子どもセンター「らいつ」で、所属する子育てサークルのお母さんたちと子どもたちがにぎやかに遊んでいるところを撮影しました。それぞれのお母さんたちがわが子だけでなくみんなの子どもを可愛がっている姿が良いなと思い応募しました。
【評】
 写真に収まっているお母さんたちが、自分の子どもにも他人の子どもにも分け隔てなく、愛情に満ちた接し方をしている。
 今の石巻地方に必要な「愛に満ちた人間同士のふれあい」を、この一枚から感じることができた。
 お母さんと子どもが集まり、顔を合わせた時の喜びが伝わってくる。昔の石巻にあった、子どもを通じた近所同士の付き合いを思わせる写真で、懐かしさも感じられる。
 撮影のテクニックを抜きにして、素直な気持ちで撮影されており、好感が持てる。


◆高砂淳二賞
 「彩りあふれる」撮影地・女川町竹浦
  飯田 紗世(31)=石巻市さくら町

 女川の海に潜った時に見つけたアイナメ。海中で抱卵していました。秋になると、雄は体色が鮮やかな金色に変わります。色がないように思われる水中ですが、水底の岩は赤やピンク、黄色など鮮やかな色があふれているということを表現したくて撮影しました。
【評】
 産んだ卵を守るアイナメの姿が愛らしい。撮影者を見て警戒している様子が、目をちょこちょこ動かす表情からうかがえる。親として懸命に卵を守ろうとする愛情、本能を感じずにはいられない。
 目つきや口、ヒレの形がよく捉えてある。しっかり近づいて、落ち着いた撮影ができていると思う。鮮やかな色合いや構図を縦写真でまとめているのも素晴らしい。
 震災後、海底の岩場にも海藻などの付着物が増え、海が豊かさを取り戻している様子もこの一枚から感じ取ることができる。


◆宮原夢画賞
 「オナラの犯人は誰だ!?」撮影地・石巻市水明南
  菅野 由里子(39)=石巻市水明南

 脱衣所で、なかなかお風呂に入らず遊んでいる長男と次男。遊んでいたら異臭がしたので、不思議そうに次男のお尻をのぞき込む長男。写真が好きなので、いつも子どもの写真を撮っていますが、子どもらしい天真らんまんさが出た一枚になったと思います。
【評】
 パッと写真を見て、2人の子どものかわいらしさにひかれたと同時に「何をしている写真なのか」が分かりづらかった。しかし逆にそこに面白さを感じた。何の写真なのか答えが分からなくても意味ありげで、見ている人に何の写真なのか想像を掻き立て、考えさせる写真だ。
 右の子の何ら企みもない普通の表情の自然さにも引き付けられるし、全裸でいる2人が自然体で、キリスト教の絵画に出てくる天使の戯れのようにも見える。2人に羽が生えてもおかしくないような愛らしさ、神秘的なものを感じる。


◆石川直樹賞
 「うしろの正面だーあれ?」撮影地・石巻市渡波
  瀬戸口 美里(24)=石巻市新成

 渡波の黄金浜ちびっこ広場で、手作り滑り台を利用したウォータースライダーで思い切り遊ぶ子どもたち。最近ここに来るようになった男の子が徐々に慣れて、派手に遊び始めるようになった喜びと、子どもらしい泥遊びの開放感を表現できたと思います。
【評】
 ある日の子どもたちの姿が生き生きと活写されている。手前の子どもも後ろの女の子も大人を気にせず、力いっぱい遊んでいるのがよい。全身から力がみなぎっていて、見ているこちらも元気にしてくれる。
 横にも縦にも世界が広がっていて、写真の長方形が生かされた構図になっている。左上に人が写っているのも効果的で、この空間の、解放された自由さ、リラックス具合が伝わってくるようだ。カメラを意識していない子どもたちを優しく見守っているのが、写真から伝わってきた。


<特別協賛賞>

◆東北電力賞
 「いろんなことしてる」撮影地・石巻市湊
  鈴木 知香(36)=石巻市松並

 石巻市湊子育て支援センターでのママサークルの夏祭りで、思い出として記念撮影した写真です。きちんと整列させて撮るはずだったのですが、みんながいろいろな方向を向いてそれぞれの遊びを始めてしまったのが、にぎやかで面白いなと思いました。
【評】
 石巻地方の未来を託す子どもたちが、こうして元気に遊ぶ風景を一枚に収めていて好感を持った。
 見知らぬ子ども同士がこうした交流を通じて成長していくのだな、と想像させてくれるし、成長への期待感が写真に詰まっている。わが子の成長過程を撮影したうちの一枚なのだろうが、それを超えて普遍性を持った写真に仕上がった。
 子どもが生まれ、成長していく過程は復興の道のりともだぶって見える部分がある。お母さんたちの愛情に満ちた目は貴重。これからのフォトノマキに期待が持てる一枚だ。


◆日本製紙賞
 「丹精込めて」撮影地・石巻市長面
  佐々木 均(66)=多賀城市浮島

 北上川河口に位置する長面地区。正月の雑煮に使われる焼きハゼ作りの様子です。ご主人と奥さんが協力して丹精込めて焼き上げていました。昨年を最後に焼きハゼ作りの伝統が途絶えてしまったのは寂しいです。受け継いでもらいたい、宮城の伝統の味です。
【評】
 炎の力強さ、迫力と、それを取り囲む魚が、お護摩のような神聖な儀式のように感じさせる。シャーマニズムに通ずる人と炎のかかわり、神秘的なパワーを感じる。
 魚にまつわる古くからの風習は、海沿いの地区でないと続かないと思う。古くから根付いている風習であることがこの写真から伝わってくる。
 長面地区での焼きハゼ作りは昨年が最後と聞いたが「何十年、何百年とたったとき、もしかしたらこの伝統がまた復活するかもしれない」と思いをはせながら写真を見る楽しみもある。


◆NTT東日本宮城事業部賞
 「継(つな)ぐ未来へ」撮影地・東松島市大曲
  高橋 達也(63)=石巻市鹿又

 震災で犠牲になった子どもたちの鎮魂のため、毎年3〜5月に大曲地区で揚げられる青いこいのぼり。こいのぼりのそばを震災当時に生まれていたか分からない子どもが元気に走り回る姿を見て、震災の悲しみ、教訓を次代に伝えたいと思い撮影しました。
【評】
 とにかく気持ちのいい絵。真っ青な空を背景にこいのぼりが泳ぎ、地上には新しくできたであろう防潮堤が白くすーっと伸びていて、広がりのある写真になった。
 全体が青と白でコーディネートされているのですっきりする。防潮堤の上を駆ける女の子の姿も写真に奥行きを与え、構図を引き締めている。うろこには、願いを込めたメッセージを見受けることもできる。
 勢いよく泳ぐこいのぼりと元気な子どもたちの組み合わせが、明るい未来へと前進するエネルギーを感じさせる。


◆東日本旅客鉄道賞
 「アメノヒのあそび」撮影地・石巻市北上町
  今村 悦子(39)=石巻市北上町

 北上保健医療センターで遊んだ後、施設を出ると雨が降っていました。雨が降るとテンションが上がるわが子と友人の子どもが列車のように1列になって順番に水たまりに入る遊びを始めました。びしょびしょになりながら一緒に遊ぶ様子に躍動感がありました。
【評】
 水のある場所を楽しむ子どもたちの自由な感情が、写真から伝わってくる。雨の日、せっかく履いた長靴を脱ぎ捨て、裸足(はだし)で歩いてしまう子どもたちを見守るカメラアイからも優しさが感じられた。
 横長の構図が生かされており、とても大きな水たまりに点在する雨の波紋、急いで脱ぎ捨てたのであろう倒れた長靴、そして子どもたちの躍動する動き。瞬間の妙をうまく写している。
 撮影者もまた雨に打たれながら、この光景を撮ろうという気持ちが伝わってきて、それもまた好ましいと思った。


<入賞>

◆石巻市長賞
 「健康第一」撮影地・石巻市日和が丘
  阿部 哲也(48)=石巻市鹿妻南


◆東松島市長賞
 「お天道様の大きな愛を浴びて」撮影地・東松島市矢本
  佐藤 詔太(32)=多賀城市伝上山


◆女川町長賞
 「パリ・コレへの道」撮影地・女川町女川浜
  宮元 伸成(78)=女川町浦宿浜


◆街づくりまんぼう賞
 「アフロヘアー」撮影地・石巻市蛇田
  平井 希美枝(39)=石巻市流留



<入選>

▽「鎮魂の山」撮影地・東松島市大曲
  岩崎 大輔(43)=東松島市矢本


▽「ともに生きる」撮影地・石巻市鮎川浜
  小野 一俊(37)=仙台市泉区


▽「ブルースリー」撮影地・東松島市大曲
  佐藤 愛加(33)=東松島市牛網


▽「復興の笑顔」撮影地・東松島市大曲
  藤島 純七(69)=仙台市泉区


▽「復興への狼煙(のろし)」撮影地・石巻市三河町
  高橋 一英(52)=石巻市山下町


▽「未来へ」撮影地・石巻市日和が丘
  阿部 暁子(41)=石巻市元倉


▽「かくれんぼ」撮影地・女川町
  高宮 亜希子(42)=横浜市


▽「ノッてる」撮影地・石巻市相野谷
  鈴木 香(37)=石巻市蛇田


▽「お姉ちゃんと」撮影地・石巻市渡波
  城 賢美(32)=東松島市矢本


▽「しいたけでっかいぞ!!」撮影地・石巻市飯野
  岡田 架奈(36)=石巻市飯野


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