NEWS 石巻かほく

このエントリーをはてなブックマークに追加
2018.11.06

宮城水産高、きょう新校舎落成式 海の仕事支え122年

6日に落成式が行われる宮城水産高の校舎

栽培漁業実習室では多様な生物を飼育・養殖する。生物環境類型の生徒たちは日々、研究や検証を重ねている

「錨章祭」で生物環境類型の生徒が飼育・繁殖の取り組みを展示発表した

調理類型の3年生が作った松花堂弁当「平成最後の秋御前」

 宮城水産高(生徒334人)は本年度、3月に完成した新校舎で学校活動を始めた。落成式が6日開かれる。

 水産教育の拠点として今年創立122年。「誇りある水産・海洋のスペシャリストの育成」を掲げ、活動の場を広げている。東日本大震災で被災した旧校舎に代わる学びやは、教育復興のシンボルとして伝統を守り続ける。

 新校舎は鉄筋コンクリート3階で、延べ床面積4914平方メートル。総工費約22億円。広い中庭や吹き抜けで開放感のある構造となっており、業務用の厨房(ちゅうぼう)機器を備えた調理実習室もある。

 旧校舎に比べ約1メートルかさ上げされ、地域の1次避難場所として最大500人を収容できる。

 同校は震災の津波で1.2メートル浸水し、一帯が冠水。石巻北高敷地内の仮設校舎で2013年1月まで過ごした。被災校舎を改修したものの老朽化が激しく、現在地に校舎を新築した。

 本年度から制服も一新し、男子が詰め襟、女子はセーラー服のスタイルになった。いずれも海洋をイメージした深い青色とした。

 「将来の地域産業を担う人材の育成」を教育目標に掲げ、地域貢献活動を積極的に展開する。

 石巻北高と共同開発した米粉を使ったかまぼこ「こめぼこ」は、石巻専修大や地元の水産加工会社と連携して商品化を目指す。プロ野球東北楽天のホームゲームで販売した。

 毎月第3水曜の「みやぎ水産の日」には、定期的に販売実習を実施。仮設校舎にいた際は干物作りに取り組み、地元の渡波地区の仮設住宅で販売した。

 14年度に学科を再編。海洋総合学科のみとし、航海技術や機関工学といった水産の専門知識を育む課程に加え、調理類型を新設。県内の公立高で初の調理師養成機関となった。

 学校のキャッチフレーズは「漕(こ)ぎ出せ 未知なる世界(うみ)へ」。石巻の水産業の再興へ発信を続ける。

<充実した実習施設、多様な資格取得>

 宮城水産高は「海に特化した専門校」として、海洋総合科に五つの類型を設けている。実習施設が充実し、実践の場を通して海技士や小型船舶操縦士、調理師免許など、多様な資格を取得できるのが特徴だ。

 生徒は入学後1年間、水産・海洋の基礎を学び、1年の冬に希望の類型を選択する。2年からはより専門的な授業に入る。

 「航海技類型術」は航海士、「機関工学類型」は機関士や港湾関係への従事者を育成。両類型は実習船「宮城丸」による60日間の遠洋を含む航海実習がある。

 「生物環境類型」は海洋資源の保全や養殖、6次産業などの知識を習得する。

 「フードビジネス類型」は食品加工や商品開発、マーケティングを学習する。

 「調理類型」は魚食文化の普及・継承などを学び、全課程を修了すれば調理師免許を取得できる。調理師養成機関は県内の公立高で初めて。

 類型間の連携にも力を入れている。生徒が漁獲や加工を担った缶詰などの商品は各種イベントで販売され、好評だ。

 今後は各類型の連携をさらに深め、グローバル化の視点を取り入れた学習を実践。時代に適した水産・海洋の授業を展開していく。

■生物環境類型/タナゴやメダカなど飼育、海洋資源の管理学ぶ

 生物環境類型の2年生は、水生生物の飼育実習をしている。24人が2人ずつ12グループに分かれ、タナゴやメダカ、複数種類の金魚、ウーパールーパーなどを育てている。

 水温調整など環境制御のデータを積み重ね、繁殖に取り組む。活動を通して、環境保全や水産資源の管理・増殖につなげていく狙いがある。

 文化祭「錨章祭」では、繁殖の成功・失敗の原因考察や日常管理の様子などを模造紙にまとめて、展示発表した。身近な水生生物との付き合いから、効果的な海洋資源の管理を学ぶ。

■調理類型/文化祭で松花堂弁当、地元食材を活用し提供

 10月27日に開催された宮城水産高の文化祭「錨章祭」に、高校生レストランが初登場した。会場では、生徒が来場者への説明役を務めた。

 当日は、調理類型の生徒が松花堂弁当「平成最後の秋御膳」を提供。オリジナル色を前面に出し、食材は地元産を中心にそろえた。弁当は100食用意。

 フードビジネス類型製造のサンマの缶詰、生物環境類型が養殖したヒラメの「五食あられ揚げ」、実習船「宮城丸」が漁獲したマグロのつみれ汁など、趣向を凝らした。

 調理実習室は飲食店の営業許可を受けている。


◇瀧田雅樹校長「人材育成へ気持ち新た」

 校舎が新しくなったことにより、生徒、教員のモチベーション向上を期待している。実習施設は営業許可を受けているため、地域住民と地元の水産物を味わう場としても活用できる。

 気持ちを新たに、日本の水産業を支える人材を引き続き育成する。水産の魅力や水産高の実態を広く共有、発信していきたい。

 生徒たちは学んだ知識を活用し、自ら考え、意見を出せるようになってほしい。


【あゆみ】
1896年 中等水産教育機関として牡鹿郡立簡易水産学校が認可。
     石巻町湊の大蔵省米蔵の敷地に倉庫や官舎の払い下げを受けて創設。
1897年 牡鹿郡水産学校(3年制)開校。職員4人、生徒53人。
1905年 この頃、郡内の経済衰退と凶作などで定員割れが続く。廃校の危機。
1908年 郡立の牡鹿水産学校を廃止し、県立水産学校(4年制)に。
     塩釜町などとの誘致合戦を経て渡波町に開校。
     志願者70人に対し合格者は50人。
     落成式典は11月15日。創立記念日となる。
1927年 練習船初代「宮城丸」進水。
1945年 6月、捕鯨船の練習生と田代島で勤労奉仕中の生徒が、
     それぞれ米軍機の機銃掃射で死亡。
1948年 新制高校に移行。
    県水産高校(3年制)に改称。
     漁業科、水産製造科、水産増殖科を設置(定員360人)。
     定時制課程を開設(66年廃止)。
1953年 練習船「宮城丸」(221トン)進水。実習生用室20人分。
1964年 全国高校ラグビー大会初出場決定(以後4回出場)。
1966年 練習船「みやぎ丸」(397トン)進水。
     実習生用室40人分、1クラス全員の乗船可能に。
1967年 新校舎が完成。
1976年 水産実習船「宮城丸」(496トン)進水。居住空間が大幅に広がる。
1977年 水産製造科、栽培漁業科、無線通信科で女子への門戸開放。
1989年 水産実習船「宮城丸」(497トン)進水。
     電子航法装置や情報処理装置等の設備を導入。
1991年 本校舎の改修工事完工。
     栽培漁業実習施設が万石浦に完成。
     実習棟2棟。管理棟1棟。水産資料展示館を併設。
1996年 創立100周年記念式典実施。
     全科で男女共学に。漁業科に初の女子生徒1人入学。
     1級小型船舶養成施設に指定。
2003年 海洋総合実習船「宮城丸」(650トン)進水。
     電子海図装置や船舶自動識別装置を搭載する最新鋭。
2004年 小型船舶操縦士訓練シミュレーター装置設置。
2011年 3月、東日本大震災。
     震災時、「宮城丸」はハワイから日本に戻る途中に津波とすれ違う。
     港湾施設の損壊で一時帰港のめどが立たなかった。
    5月、石巻北高敷地内の仮設校舎に移転。
2013年 1月、本校舎で開講式。
2014年 1月に調理師養成課程が認可。
    4月より情報科学科募集停止。
     海洋総合科(定員160人)の1科に学科改編。
2018年 3月に新校舎完成。

 宮城県水産高等学校 https://miyagisuisan.myswan.ed.jp


スポンサーリンク

ページの先頭に戻る