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2018.02.03

産学連携 Pepperで震災伝承 石巻専大、ソフトバンクG

Pepperに触れながら、部活動を振り返る部員ら

映像の制作手法などを学んだ研修会=石巻専修大

Pepperを使った実証テストの様子

 石巻専修大(石巻市)とソフトバンクグループ(東京)が人型ロボット「Pepper(ペッパー)」を活用し市内の高校生と取り組む産学連携プロジェクトで、石巻商高コンピューター部は東日本大震災を伝承するシステムの開発を目指す。

 石巻市内の震災伝承館に来館する人々に動画で分かりやすく石巻を案内するほか、外国人に向けても震災発生時の状況や復興の歩みを紹介する多言語のコンテンツを考えている。


◇多言語のコンテンツ検討/石巻商高コンピューター部

 石巻商高コンピューター部は部活動として放課後、Pepperを使った震災伝承の仕組みづくりに取り組んだ。テーマは「震災伝承館などへの来館者向けの案内情報コンテンツの開発」。

 3年生4人、2年生6人の部員が、震災で被災した石巻の復興の歩みを紹介するアプリ作りに励む。

 今回のテーマを取り上げた背景には、石巻を訪れる外国人観光客が震災や復興について、満足な説明を受ける機会が少ないという実情がある。生徒たちは「外国人観光客に震災後の石巻を正確に伝えたい」と言う。3年かけてアプリを完成させる予定で、2017年度は基礎を固める期間とした。

 共同でプロジェクトを進める石巻専修大と役割を分担。同大が震災後の地域の姿を担当し、石巻商高は震災前の石巻のコンテンツを作っている。

 生徒たちは「地理」「観光」「歴史」の3分野で、取り上げる項目や説明を考えた。「日和山」「田代島」「サン・ファン・バウティスタ号」などの説明をPepperが話すようプログラムを作った。

 タッチパネルで項目を選択できるようにしたり、クイズを導入したりするなど工夫。部長の3年佐藤優成さん(18)は「見る側が退屈せず、関心が湧くよう素材を練った。できるだけ面白く体験できるようにした」と話す。

 Pepperが思うように動かず、作業が滞ることも度々あった。3年の高橋海斗さん(18)は「テストを繰り返し、改善を重ねてきた」と振り返る。

 プロジェクトを通し、石巻の歴史や文化なども学んだ。佐藤さんは「これまで知らなかった石巻について理解できた。復興の歩みもたどり勉強になった」と充実した表情で語った。

◆生徒たちの声

■佐藤優成さん(18)
 Pepperが話す内容を考える担当でした。どのようにすれば、多くの人に興味を持っていただけるのか、試行錯誤しながら工夫しました。人に何かを伝えることはとても難しい。後輩には僕たちが築いた基礎を改善し、より良いものにしてほしいですね。

■高橋海斗さん(18)
 出来上がったプログラムで実際にPepperが動くのかどうか、テストする役割でした。エラーの際、原因を探るのが大変でした。ソフトに慣れるのに時間がかかりました。システムエンジニアを目指しているので、今回の体験は大変勉強になりました。

■渡辺伯亜さん(18)
 地理・観光・歴史という分野のアイコンを作りました。質の高さを求め、自分なりに頑張りました。ロボットに触れる機会は普段なく、今回の体験は新鮮でした。パソコンで画像を作るデザイナーが夢。進学が決まった石巻専修大で、専門分野をさらに磨きます。

■山田樹さん(18)
 Pepperのプログラミングを担当しました。初めての体験で、しかも授業で習うわけでもありません。正しく処理するにはどうすればいいのか、手探りでやってきました。新しいことに挑戦する今回の体験を進学が決まった石巻専修大でも生かしたいです。


◆基礎は築いた/石巻商高コンピューター部顧問・斎藤充教諭(45)

 基本的にはPepperを生徒たちに預けて、触れさせることからのスタートでした。Pepperに何を話させて、どう動かすのか。生徒たちは自主的に考え、試行錯誤を重ねてきました。1年間で完全なものができるとは思っていません。ただ、基礎的なことは築いてもらえました。

 こうした新しいことに挑戦する体験は必ずプラスになります。自分たちは今後、何をしたいのか、どんな道を歩みたいのか。Pepperに触れる機会を得ることができて、生徒たちの新しい視界が開ければいいと思います。


◇映像制作の手法学ぶ/石巻専修大経営学部益満環教授研究室

 ソフトバンクグループと産学連携プロジェクトに取り組む石巻専修大で、石巻商高コンピューター部と連携するのは、経営学部経営学科の益満環教授の研究室。益満ゼミは2017年度、2年生がPepperの活用法を研究する「プログラミング班」と「動画班」をつくり、プロジェクトを進めてきた。

 石巻商高と共同で、東日本大震災を伝承する仕組みを模索。プログラミング班はPepperが話す内容などを考え、プログラムを制作してきた。動画班は震災後の写真や動画を集めるなどして、コンテンツの開発に知恵を絞ってきた。

 1月23日には映像制作について考える研修会を同大で開催。石巻商高からも生徒2人が参加し、仙台市を拠点に活動する映像作家の門傳一彦さんから動画の作り方などを学んだ。

 門傳さんは「誰に見せるのか、何のために伝えるのかをしっかり考えることが大切」とアドバイスし、実際に制作した映像を流しながら要点を解説した。

 益満ゼミ動画班の庄司琴美さん(20)は「石巻の写真をPepperで紹介する映像がうまく作れず、やり直している。どう伝えるのか、勉強になった」と話す。小野寺亨太(こうた)さん(20)も「Pepperが話す時間と動画の時間を合わせるのが難しい。頑張りたい」と意欲を見せた。

 プログラミング班の岡田大和さん(20)は初めてのロボット操作に「最初は戸惑った」と振り返り、新井匠さん(19)は「震災を踏まえて何をPepperに話させるのか。言葉を選ぶのが難しい」と語った。

 石巻専修大は16年度から地域の活性化と人材育成を目指し、高校と大学、企業による高大産連携プロジェクトに取り組んでいる。


◇Pepper、ALS患者の思い伝える/仙台のNPO法人

 NPO法人せんだいアビリティネットワーク(仙台市)と東北福祉大(同)の学生らが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)で声の出ない患者のコミュニケーション支援として、患者の思いをロボットが話す研究を進めている。ソフトバンクグループの「Pepper社会貢献プログラム」で貸し出されたPepperを活用。ALS患者の生活の質向上を目指している。

 ALSは全身の筋肉が徐々に動かなくなる病気。発話できず、動くこともできず、ずっとベッドで過ごす患者も少なくない。県内には200人余りのALS患者がいるという。

 せんだいアビリティネットワークの安斎敬太さん(28)は「Pepperを使い、患者の目、声、手足を代替させることができるのではないかと考えた」と研究の狙いを話す。

 Pepperが患者に代わって会話する。感情表現ができない患者の気持ちを身ぶりやジェスチャーで家族に示す。移動が困難な患者に代わり、Pepperがリビングの様子などをベッド上の患者にライブ映像で伝える。

 Pepperのそんな活用法を安斎さんは想定している。「患者には家族らとのコミュニケーションができない絶望感から、生きる意欲を失う人もいる。家族の時間を再び獲得できるようにしたい」

 安斎さんは昨年4月、Pepper3台を借り受けたのを契機に、東北福祉大総合マネジメント学部の漆山純一講師の研究室と共同で研究してきた。

 話せないALS患者は現在、専用のセンサーとソフトを使用し、パソコンの画面を通して一文字ずつ意思を伝えている。安斎さんらは、この文章をPepperが文脈によって身ぶりを付けながら話すソフトなどを開発し、実証テストを行っている。

 患者からは「Pepperが介護者を向いて話すので、パソコン画面をいちいち見に来てもらう必要がなく、用件が伝わりやすい」「生きる希望になる」などの声が寄せられている。

 安斎さんは「ALSは神経難病の中では最重度の難病。研究の成果が出ると障害者らに幅広く応用できる」と話している。


<プロジェクトとコラボ>

 ソフトバンクグループは昨年4月から、CSR(企業の社会的責任)活動として、Pepperを活用した「Pepper社会貢献プログラム」事業の一環で石巻専修大、石巻工高、石巻市桜坂高、石巻商高に計30台のPepperを3年間無償で貸し出している。

 石巻専修大は同社と共同で、Pepperを使った地域連携プロジェクトとして地域活性化、人材育成に取り組む。

 三陸河北新報社は2017年度、このプロジェクトとコラボレーション(共同作業)し、「石巻かほく」紙面で定期的に紹介していく。


※関連記事
「産学連携 Pepperで石巻の情報発信 石巻専大、ソフトバンクG(2017.11.05)」
http://ishinomaki.kahoku.co.jp/news/2017/11/20171105t13011.htm


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