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2017.10.27

女優・菊池佳南さん、韓国公演ツアー記(下)大学路小劇場演劇祭

ソウルの街が歓迎。光化門広場を望む。(左から)ミンジさん、私、赤刎さん

韓国の友達ミンジさん(左)と再会を喜び合う私(中央前)。後ろは照明スタッフの黒太君、日本から駆けつけてくれたホエイのメンバーで制作・俳優の赤刎千久子さん(右)

 私にとって3度目のソウルにやって来た。ソウル駅に降り立つと、たくさんの人、車、高層ビルに出迎えられ、やっぱり光州より大都会だと改めて実感させられる。

 そして今回、私が最も楽しみにしていた韓国人の友達ミンジとの再会。彼女は2年前に、私の所属する劇団・青年団と彼女の所属する韓国の劇団との日韓共同製作の際に出会った同じ年の女優。明るくて賢くてとってもチャーミングな彼女との久しぶりの再会に、話は尽きなかった。ソウル滞在中、私や座組の皆をいろいろな場所に連れて行ってくれて、楽しい時間を一緒に過ごした。

 ソウルで参加したのは「大学路小劇場演劇祭」。2週間に渡り、台湾・ギリシャ・日本・韓国のダンスや演劇の招聘(しょうへい)公演と、ソウル以外の地域からの劇団の招聘公演が開催された。

 大学路(テハンノ)は、大小100以上の劇場が集まるソウル一の演劇の街。アートや若者が集う雰囲気は東京・下北沢にも似ているけど、街中が演劇で盛り上がっている様子は、テハンノならではだ。

 今回の私たちの会場、ドリームアートセンターは、最近できたばかりのとてもきれいな施設。劇場内は、前回の光州芸術文化会館とは対照的に、とても小さな舞台。皆がくつろげる屋上庭園からはソウルの街を一望でき、遠くには南山タワーが見える。

 スーツケースたった4個で現れた私たちに、「えっこれだけ?」と劇場スタッフの方々は不思議そうな反応。でも、これが今回の座組の強み。どんな場所でも、大きな舞台美術に頼らずとも、俳優と観客の想像力があれば作品の世界が立ち上がる。

 それが、演劇の強みであり、面白さだと思う。派手な仕掛けや華美な衣裳だけが魅力ではなく、劇場に人が集まり、想像力の翼で多くを見て、感じ、同じ時間を共有できることそのものが、演劇の魅力。

 ソウルでの公演は、光州公演と同様、200年以上も前の、ソウルから遠く離れた蝦夷の地でのこの小さな物語を、観客の皆さんが真摯(しんし)に受け取ってくれた。終演後、拙(つたな)い韓国語で挨拶(あいさつ)をした時の、客席からの温かい拍手は忘れられない。

 ミンジや、同じく以前に共同製作をした韓国の俳優の皆さんも集まって、甘辛チキンとビールで乾杯。2年が経っても、会えばすぐに冗談を言い合える。演劇を通じて出会えた、国や文化の違いを超えて笑い合える大切な仲間。ソウルでの時間は、演劇の力を改めて私に気づかせてくれた。

 帰国して数日後、いしのまき演劇祭に向けて、うさぎストライプの稽古が始まった。今度は、東京で出会った仲間と一緒に、石巻に演劇を届けにいく。演劇を通して、どんな景色を、どんな人と一緒に見られるだろう。いしのまき演劇祭が、街中に演劇の力で、わくわくする風を運べますように。私たちの挑戦は、まだ始まったばかり。


※女優・菊池佳南さん、韓国公演ツアー記(中) 「珈琲法要」上演
http://ishinomaki.kahoku.co.jp/news/2017/10/20171020t13006.htm


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