NEWS 石巻かほく

このエントリーをはてなブックマークに追加
2017.10.20

女優・菊池佳南さん、韓国公演ツアー記(中) 「珈琲法要」上演

光州平和演劇祭で「珈琲法要」を上演する(左から)山田百次さん、私、河村竜也さん

活気ある光州松汀駅。ここから韓国の新幹線KTXに乗り、次の公演都市ソウルに向かう

 光州平和演劇祭、本番。実は今回、3年間上演し続けた作品の冒頭部分を大きく変えて挑んだ。

<韓国語で語りかけ>

 この「珈琲法要」は、1807年、蝦夷地北方警備に派兵された津軽藩士の、ときに絶望し、ときに笑い合いながら生きようとする姿を描いており、100年、200年後の日本の行く末を示唆している。韓国のお客様に誠意を込めてこの作品を届けたいという思いがあった。

 そこで、青年団主宰・平田オリザ氏とも何度も相談を重ね、冒頭の一部分を、客席に向かって韓国語で語りかけるという大胆な演出に変えた。私たちの思いは、受け入れてもらえるのか。

 開演してすぐにその答えが返ってきた。

 一言目から、拍手が起こったのだ。光州の観客は、とても温かかった。終始、客席からの笑い声と、温かい眼差しと、共感の涙に包まれていたことが、舞台上からもはっきりと分かった。あの客席と舞台との目に見えない心のやりとりは、私が初めて石巻で公演をした時、舞台上で感じたものと、どこか似ていた。

 光州は、演劇祭スタッフの方々も温かかった。光州演劇協会の会長自ら私たちのために、毎日ホテルから劇場への車を出してくださった。光州の美味しいものや演劇についてなど、たくさん話もしてくれた。なんと会長をはじめ、舞台監督、ベテラン照明家、サポートしてくださった方のほぼ全員が、舞台俳優なのだそうだ。

 公演後、演劇祭の皆さんが交流会を開いてくれた。サムギョプサルを囲んで演劇について語り合った。光州の演劇人として光州で活躍する彼らが、宮城出身で宮城で演劇活動を続ける大先輩たちの面差しと重なる。

<未来の石巻を想像>

 光州では、さまざまな形の作品を受け入れる劇場があり、演劇祭があり、そこに活躍する演劇人たちが「芸術の都」と呼ばれる街の活気を生んでいた。

 それはどことなく、私の生まれ育った宮城と、そして演劇を通じ出会った「いしのまき」と似ていて、きっと遠くない街の未来の石巻の姿を想像した。

 昨年生まれたての「いしのまき演劇祭」が、演劇の力で、いま私の目の前にあるような、国境を越えて笑いあう光景を創り出す日が来たなら…。そんなことを思いながら、美味しい焼肉をお腹いっぱいご馳走になった。

 「ソウルの観客はきっと光州よりクールだよ。頑張ってね」。演劇祭スタッフの方々にそう言って駅で見送っていただいた。

 今度は韓国の新幹線KTXで2時間、ソウルへ。私自身、ソウルを訪れるのは3回目。以前、日本と韓国の二つの劇団で共同製作をした時の友達とソウルで再会できるのを、ひそかにこの韓国ツアー公演の一番の楽しみにしていたのだった。


※女優・菊池佳南さん、韓国公演ツアー記(上) 光州平和演劇祭
http://ishinomaki.kahoku.co.jp/news/2017/10/20171013t13008.htm


スポンサーリンク

ページの先頭に戻る