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2017.10.13

女優・菊池佳南さん、韓国公演ツアー記(上) 光州平和演劇祭

韓国公演に向け成田空港に集合した(左から)プロデューサー・俳優の河村さん、私、作・演出・俳優の山田さん

「第13回光州平和演劇祭」の看板(左下)が置かれた光州芸術文化会館・小劇場のロビー

菊池佳南さん

 3年前から出演している青年団リンク ホエイの舞台「珈琲法要」。9月に韓国2都市の演劇祭を回るツアー公演があり、1週間、韓国に滞在した。

 石巻地方で今年2年目を迎える「いしのまき演劇祭」に携わる一人として、また一俳優として、見てきたこと、感じたことを、思うままにつづってみたい。

 今回の公演は、私を含め6人のツアーメンバー。80分3人芝居の衣裳、小道具、舞台美術、照明機材を、4個のスーツケースに詰めたとてもコンパクトな演劇の座組だ。

<演劇祭、国際色豊か>

 仁川空港に到着後、高速バスで移動すること4時間。最初に訪れたのは光州広域市。韓国南西部に位置し、多くの芸術祭が開催されることから「芸術の都」とも呼ばれる都市だ。

 私たちの参加する「第13回光州平和演劇祭」は、10日間にわたり15演目が上演される。そのうち3演目がロシア、ギリシャ、日本の招聘公演。なんとも国際色豊かな演劇祭である。

 それにしても、バス移動中の高速道路からの景色といい、途中のサービスエリア(SA)の雰囲気といい、美味しい海の幸といい、道路沿いの大型ショッピングセンターといい…なんだか石巻に似ていて、親近感を感じずにはいられなかった。初めての土地なのに妙に落ち着くものがあった。

<複合的な施設>

 翌日、本格始動。会場は光州芸術文化会館。大小二つの劇場と美術展示室、円形野外劇場、稽古場、レストランなどの施設がそろった大きな複合的な施設だ。

 座組の照明スタッフ黒太くんは、昨年のいしのまき演劇祭にも照明で参加してくれた。今回の韓国でも活躍。ほぼ通訳を介さず、身振りと日本語と、少しの英語で現地スタッフとどんどん照明を吊り込んでいく。持ち前の明るさですぐ、光州演劇人たちと打ち解けた。

<字幕合わせる>

 今回のテクニカル面での山場が、俳優の演技に韓国語字幕を合わせる作業だ。

 「珈琲法要」は、江戸時代後期の北海道を舞台に、全編津軽弁で語られるという少し特殊な作品。そのため、プロデューサー・俳優の河村竜也さん、作・演出・俳優の山田百次さん、通訳・字幕操作スタッフのチャン・ムンギくんが、ニュアンスが翻訳に合っているか、言葉の一つ一つを検証するという作業を、前日夜遅くまで行っていた。

 さらに、舞台上の俳優が台詞を発するのに合わせて字幕を出すのが実はとても難しい。ムンギくんは困難な状況にも関わらず、冷静な表情と穏やかな口調で対応。そしてたった一日で、初めての操作のコツをつかんだ。

 富山から駆けつけ、舞台上で劇場スタッフと座組との通訳に奔走してくれていた青年団の先輩女優、申瑞希(シン・ソゲ)さんが、作業の合間を見て、韓国の海苔巻き「キンパ」や温かくてお腹にたまる韓国餅「トッポッキ」などを買ってきてくれた。夕食を取る時間も忘れていたので感激。隣国とはいえど勝手の違う海外で、改めて今回の座組の強さを感じた。

<力集まり活気>

 協力なくては成り立たないのが演劇。一つのものに向かって、いろんな人の力が集まり活気を生んでいく。海外でも、いしのまき演劇祭でも、演劇の力は共通のはず。そう思いながらの作業に熱がこもった。

 そしていよいよ私たちの韓国公演が幕を開ける。


■きくち・かなみ
 1986年、岩沼市生まれ。大学で演劇を学んだ後、平田オリザ氏が主宰する劇団「青年団」に所属。東日本大震災後は石巻市出身の芝原弘さんが立ち上げたユニット「コマイぬ」に参加。東京と石巻を行ったり来たりしながら、舞台を中心とした俳優活動や学校・福祉の現場における演劇ワークショップ活動に取り組んでいる。11月のいしのまき演劇祭には「うさぎストライプ」の一員として参加する。東京都在住。


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