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2017.09.14

汚染稲わら、石巻市内に69.8トン 保管農家苦悩「管理大変」

ロールにまとめられた汚染稲わらは、ラッピングされて保管。野積みされ、崩れ落ちたのもある=8月下旬、石巻市内

 東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質で汚染された国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の汚染稲わら(春わら)を巡り、所有する石巻市内の農家が苦悩している。

 市は、石巻広域クリーンセンターで試験焼却し、焼却灰を河南一般廃棄物最終処分場に埋め立てる計画を示しているが、反対の声もある。

 東日本大震災から6年が経過し、保管する農家からは「管理が大変だ」「汚染物がある状態を分かってほしい」と切実な声が上がっている。

 汚染稲わらを抱える市内の農家は、震災直後に所有する水田から集め、ラッピングし、ロール状にして保管している。

 「ビニールが破けてネズミが入ってしまっている。風が吹けば飛ばないように直す。草を刈るにも何をするにも管理は大変だ」と70代の所有者はため息をつく。自宅敷地から少し離れた場所にひっそりと積まれた汚染稲わら。3メートル四方のシートで覆われ、中は見えないが、ロール17個が山積みになっているという。

 震災直後の放射性セシウムの濃度が高かったとされた時期、孫が一緒に住んでいた。友達と遊ぶ時も、「近寄るな」と注意した。保管場所は牧草地、採草地にする予定だが、汚染稲わらがあるためできないでいる。

 「焼却すれば灰になる。灰をちゃんとした形で埋めれば大丈夫という安全対策を、放射能に敏感になっている市民に説明し理解させてほしい」と行政に注文した。

 別の農家は「飼料として使うこともできないし、自分では何もできない」と不満をこぼす。震災の前年秋に一部の稲わら(秋わら)は集めたが、残った分が汚染された。

 2011年春に収集し、1ロールの大きさは直径1メートル、高さ1メートル、重さ約100キロで、17個保管している。直後は稲わら置き場に置いていたが、ラッピング後は牛舎裏に野ざらしで重ねている。風にあおられ、崩れ落ちることもある。「放射能が危険だからというより、作業する際の邪魔にならない場所に置いている」と説明する。

 市によると、汚染稲わらは69.8トンあり、1キロ当たりの放射線濃度は2000〜5500ベクレル。試験焼却後は、飛灰が400ベクレルで土壌改良資材許容量、主灰を固めたスラグは100ベクレルで建設用資材として販売できる許容量であると同時に、一般食品の基準値でもある。

 数値が少なくなるだけに、保管農家は反対する地域住民に複雑な思いでいる。「危ないと心配する住民の気持ちは分かる。しかし、6年もそばに置かれ何ともできない、われわれのことを考えてほしい」と嘆いている。

<保管状況確認、9カ所11戸>

 石巻市は7月下旬〜8月上旬に、汚染稲わらの実態調査を実施した。河南、桃生、河北地区の計11戸(9カ所)で保管状況などを確認した。

 ラッピングされた稲わらのロールのほか、(稲発酵粗飼料の)稲ホールクロップサイレージにしてシートをかぶせたり、自前の倉庫で保管したりしていた。

 所有者は異口同音に「早く処理してほしい」と言っていたという。

<石巻市、多数住民同意で埋め立てすべき>

 石巻市は12日、混焼した際に出る焼却灰を河南一般廃棄物最終処分場に埋め立てる計画について「全会一致は難しい。多くの住民の同意が得られれば進めるべきだ」との認識を示した。市議会9月定例会の環境教育委員会で、市生活環境部が説明した。

 住民説明会などの進め方や反対運動への対応を問われ、市廃棄物対策課は「壁にぶち当たっている。専門家の助言を受け、安全だという事業を理解してもらえるよう説明できるか、検討している」と試行錯誤の現状を述べた。

 委員は「周知の仕方が丁寧さに欠けた。合意を得られるような段取りを組んでほしい」と求めた。


※関連記事
「汚染稲わらに住民警戒 焼却灰埋め立てで説明会 石巻市(2017.07.08)」
http://ishinomaki.kahoku.co.jp/news/2017/07/20170708t13011.htm


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