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2017.04.20

石巻地方・さかな歳時記(22) サヨリ、コウナゴ

長い下あごが特徴。美しい姿は「貴婦人」にも例えられるサヨリ

メロウドの幼魚コウナゴ

<サヨリ>

 サヨリという魚を皆さんは見たことがあるでしょうか。細く、スマートな姿で口先がほんのりと紅色に染まっている。色はエメラルドグリーン。魚界という世界があるのなら、「魚界の貴婦人」とも例えられるような、見た目が誠にきれいな魚です。

 ただし、3枚におろすとおなかの中は黒いので、腹黒い人間を「サヨリ」と嫌う人もいたそうです。サヨリにとっては、えらい迷惑な話です。もちろん、すし屋などで出てくるサヨリは、きれいなエメラルドグリーンの部分です。

 サヨリはサンマの仲間ですが、サンマが秋の魚なのに、サヨリは春が旬の魚です。

 この魚が大量に水揚げされていた頃は、2艘曳(そうび)きといって小型の2艘の船で網を曳く方法で捕っていました。今は漁獲量が少なくなったので、そうした漁法はもう使われていないでしょう。

 味は淡泊です。だから、単品の刺し身などで食べることは少なく、肉質がきれいなので付け合わせや盛り合わせに添えると映える魚です。淡泊だが上品な味で、希少価値もあって値は張る魚です。

 現在では見なくなりましたが、30年ほど前、サヨリの代用としてペヘレイという養殖魚が出回ったことがあります。姿も味もサヨリそっくりでした。原産はアルゼンチン。ペヘレイは決して安い魚ではなく、バブル経済の終焉(しゅうえん)とともに姿を消してしまいました。


<コウナゴ>

 石巻では今、コウナゴ漁が最盛期を迎えています。コウナゴは、シラウオとは違って幼魚の時の呼び名です。大きくなると20センチほどになるメロウドという魚です。

 このメロウドも石巻地方の地方名で、気仙沼などではヨド、北海道ではオオナゴなどと呼ばれます。標準和名はイカナゴです。

 2センチほどのコウナゴは、蒸したり干したりしてシラスとして食されるので珍重されますが、それより大きくなると石巻では加工用に回され、冷凍として売られるのが多くなります。

 コウナゴと呼ばれる2センチほどの魚体が捕れる期間は、せいぜい2週間ほどでしょうか。今年はメロウド漁が不振で、コウナゴも漁獲が期待できないのではないかと心配でしたが、そこそこ揚がっているようです。

 大阪など関西地方で「釘(くぎ)煮」という名物のつくだ煮があります。さびて折れ曲がった釘のように見えるから、そう呼ばれています。それに使うイカナゴは、石巻で言う加工用サイズの5センチほどものです。

 スーパーなどで、石巻産のコウナゴが出回る前に「釜揚げしらす」として売られているのは、セグロイワシ(カタクチイワシ)の幼魚です。

 セグロイワシの稚魚を板のり状にして干物にしたのが「たたみいわし」で、相模湾沿いでは特産品として知られています。

 伊豆地方などで有名な「しらす丼」もセグロイワシの稚魚のシラスです。

 私は静岡県の清水に住んでいたとき、セグロイワシの漁を見ました。三保の松原から富士山を背景に白帆を上げて小船が網を引いていく風景が大変叙情的で懐かしく思います。

(鮮魚店「プロショップまるか」佐々木正彦さん)


※石巻地方・さかな歳時記(21) ニシン、ノドグロ
http://ishinomaki.kahoku.co.jp/news/2017/04/20170406t13005.htm
(隔週で木曜日掲載)


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