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2017.03.19

ラジオ石巻・FM764のつぶやき(81) 風に乗って

 週1回、ラジオ石巻に足を運ぶようになって5回目の春を迎えようとしている。

 2月半ば、石巻市駅前北通りのステーションブリッジをJR石巻駅側から渡り、自転車置き場のそばに差し掛かると、どこからともなく良い香りが漂ってきた。

 あ、いつもこの時期にここで利く香りだ、とうれしくなり、思わず顔を上げて胸いっぱいに息を吸い込んだ。

 変形性股関節症が悪化し、30代後半から歩行することが少なかった。両脚とも人工関節にしてから30分くらいは歩けるようになった。ラジオ局指定の駐車場からこの道を歩き始めて、最初に感じた香りだった。

 奥ゆかしく高貴な香り。ここでこの香りに出合うと、一体どこからやってくるのだろう、何の香りかしら、と辺りを見回すのだが、それらしい花はなく、鮮やかな紅のツバキが色合いの少ない冬の終わりを彩っているのみである。

 数日後、山あいに住む友人宅を訪ねた。何と、あの香りが漂っているではないか。

 香りの主はロウバイであった。ろう細工のようなつやを持つ小さな花がたくさんつき、芳香を放っている。その下でくぎ付けになってしまった。

 あの道を歩くことなくこの花に出合っていたら、これほどの感動が湧き上がっただろうか。歩けたからこそ感じた、風が運ぶ贈り物に感慨深いものがあった。(パーソナリティー・佐藤千代)


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