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2017.03.17

追悼と伝承、石巻南浜津波復興祈念公園 19日に起工式

津波復興祈念公園が建設される石巻市南浜地区。追悼と伝承、人のつながりを象徴する施設として4年後の完成を目指す

石巻南浜津波復興祈念公園のイメージ図(県提供)

東北国営公園事務所長 脇坂隆一さん

 東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた石巻市の南浜地区に国、県、市が整備する「石巻南浜津波復興祈念公園」(38.8ヘクタール)の起工式が19日、現地で行われる。追悼の広場や池、多目的広場などを配置し、2021年3月の完成を目指す。

 震災犠牲者を悼み、被災の記憶を伝え、人の絆をつむぐ場として、被災地が発信する最大の施設がいよいよ姿を見せ始める。

【理念と方針】

 整備に当たっては、震災で犠牲となった全ての命を追悼する思いが根幹にある。そこに、
(1)まちと震災の記憶を伝える
(2)命の営みの杜をつくる
(3)人の絆をつむぐ
という考え方を取り入れ、基本理念としている。

 公園の姿を描く上で踏まえた視点は「土地」「街」「追悼と伝承」の三つ。昔、この一帯には湿地と松原が広がっていたこと、震災まで人の暮らす街があったことを来訪者に伝えるという前提で検討が進められた。松原や聖人(しょうにん)堀の復元、湿地や街路の整備といった形で反映される。

【施設配置】

 公園は、東西に走る盛り土道路「門脇流留線」「南光湊線」に挟まれたエリアに整備される。エントランスは4カ所。

 主要施設のうち、国が整備するのは、中央に配置される中核的施設(休憩所、ビジターセンター)と、追悼の広場。広場は約2800平方メートルあり、3000人規模の式典が可能な広さになる。

 その周りには池と湿地、避難築山(一丁目の丘、海抜10メートル)などが造成される。西側には野球やサッカーなどができる活動空間として、市が三つの多目的広場を整備する。施設の多くは「門脇」「四丁目」「雲雀野」「善海田」など、かつてこの地域で使われた呼び名を生かした。

 このほか、現在の「がんばろう!石巻」看板や「南浜つなぐ館」のように、人のつながりや伝承を主眼とする市民活動が継続できるような拠点も園内に設けられる。


■被災者の前進につながる公園を/国土交通省東北国営公園事務所長 脇坂隆一さん

 門脇町のまちびらきと同時に公園の起工式ができることは、石巻の大きなターニングポイント。震災体験を無駄にせず、被災者が前に向かっていくことに結びつく事業になればと期待します。

 構想段階から市民参加で進めてきました。これからも多くの市民に事業に関わっていただきたいと思います。

 訪れた人には、かつてここに街があり人々が生活していたこと、そして何が起きたのかを考え、全国の同じような街の防災に役立ててほしい。交通の便がよく、活用できる高いポテンシャルを持っており、交流人口を増やす拠点にもなります。


◇みんなが集う公園に

■石巻観光ボランティア協会会長・斎藤敏子さん(75)
 震災後、修学旅行や研修などで全国から年間1万人以上を受け入れてきました。ガイドするコースの中心的な場所として、旧門脇小前で震災時の状況や復旧、復興状況を説明してきました。これからは祈念公園の概要、役割などについて、説明することになると思います。
 子どもたちも多いので分かりやすく説明することはもちろん、避難路などを活用した避難体験を取り入れることも考えていきたいと思っています。祈念公園ができることで石巻の知名度が高まり、観光客が増えることを期待しています。

■公益社団法人みらいサポート石巻専務理事・中川政治さん(40)
 震災で街がどう変わったか、市民が震災から何を学び防災にどう生かしているかなどが、石巻に行けば分かる未来になってほしいと願っています。祈念公園はその象徴になる施設。おととし、みらいサポート石巻が「南浜つなぐ館」を開設したのも、石巻を訪れる人に門脇・南浜地区の今昔を伝えたいという思いからです。
 公園は、震災を経験した市民が思いを発信し、震災の教訓を伝承する場として機能を発揮してほしい。ここを拠点にいろいろな人がつながっていくことを願っています。

■NPO法人こころの森代表・古藤野靖さん(57)
 公園のコンセプトやデザインを考える検討委員として3年ほど関わりました。地元の里山で育った木の種から市民の手で森づくりをする活動も進めており、祈念公園にも植えていく計画です。公園起工の時を迎え、いよいよ活動のスタートラインに立ったという思いです。
 公園は追悼、伝承、スポーツ交流などさまざまな思いが込められた施設。集う人たちが心豊かに過ごせる場になってほしいと願っています。私たちも9月に予定する第1回植樹を皮切りに、多くの人が寄り添える公園づくりを目指します。

■かどのわき町内会会長・本間英一さん(68)
 復興の象徴として、追悼のほか防災への役割などを担う公園には、多くの人たちが訪れると思います。心和む場所になることを期待しています。命あふれる公園として、植樹が計画されていますが、ぜひ活力をもらえるタブノキのような復興のシンボルツリーが欲しいですね。
 池と湿地を設け、市街化される以前の風景が復元されるようですので、楽しみです。子どもの頃に見たメダカが泳ぎ、トンボが飛ぶ自然豊かな空間となり、人々に親しまれ、にぎわう公園になることを切望しています。


<石巻南浜津波復興祈念公園起工までの主な経緯>
2011年
 3月 東日本大震災。南浜地区は災害危険区域に
 12月 石巻市の復興計画に「復興のシンボルとなる公園整備」位置付け
2013年
 2月 石巻サッカー協会が南浜地区へのスポーツ施設誘致を石巻市に要望
 6月 石巻市が祈念公園内への国営中核施設整備を関係省庁に要望
 6月 石巻市体協が南浜地区への県武道館誘致を石巻市に要望
 10月 復興祈念公園を考える石巻市民フォーラム開催
2014年
 3月 復興祈念公園の基本構想策定
 4月 石巻市と、東京五輪・パラリンピック聖火リレー出発地・聖火台誘致委員会が
    五輪組織委員会の森喜朗会長に誘致を要望
 10月 復興祈念公園の中核施設となる追悼・祈念施設整備が閣議決定
2015年
 8月 復興祈念公園の基本計画策定
 10月 復興祈念公園(38.8ヘクタール)の基本設計を話し合う有識者委員会発足
 11月 公益社団法人みらいサポート石巻が門脇・南浜地区の伝承施設「南浜つなぐ館」
    を開設
 11月 日本製紙石巻工場が石巻市に、南浜地区への硬式野球練習場整備を提案
2016年
 3月 公園の基本設計策定。名称は「石巻南浜津波復興祈念公園」に。21年3月の
    完成目指す
 4月 門脇町の「がんばろう!石巻」看板が作り替えられ、祈念公園予定地に移設
 5月 復興祈念公園基本設計市民説明会
 11月 亀山紘石巻市長が震災遺構検討会議で、旧門脇小校舎の現地保存の意を表明。
    公園と連携して震災を伝承する必要性を指摘


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