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2017.03.14

伝統を心に刻み新年度統合 大須小と雄勝小、大須中と雄勝中

運動会に向け大須小中両校の校歌を練習する児童生徒=2016年9月

力を合わせて臨んだ雄勝小中合同運動会=2016年9月

 石巻市大須小(児童5人)と雄勝小(児童16人)、大須中(生徒7人)と雄勝中(生徒21人)がそれぞれ統合し、4月に新生の雄勝小、雄勝中が誕生する。

 併設校として大浜地区に整備される新校舎は、6月末の完成を予定。児童生徒は新年度、2学期に新しい学びやに移る。

 閉校式を18日に控えた4校の歩みを振り返るとともに、校長の思いを聞いた。

   ◇

■大須小/体験学習通し郷土愛育む教育

 2002年に旧大須小と旧桑浜小の統合に伴い、石巻市雄勝町大須に開校した。40メートルの高台にあるため、東日本大震災での津波被害はなかった。当時最大739人の住民が身を寄せる避難所としても機能。14年度からは大須中が校内を間借りし、運動会や学習発表会など連携して取り組んだ。

 本年度を含めると、15年間で94人が巣立った。大須地区の自然、文化、人とのつながりを土台に、古里への理解を深めてきた。漁業体験をして海の豊かさを実感するなど、さまざまな行事で郷土愛を育んだ。

 本年度は統合に向け、雄勝小と合同で校外学習や焼き芋・豚汁を味わう「大須の秋を楽しむ活動」などで交流を図ってきた。

 菅原佳江校長は「統合すれば、旧雄勝町唯一の学校となる。復興のシンボルとして地域に元気を与えられる存在になってほしい」と期待する一方、「校舎の建設先が雄勝町大浜と、現在の場所から離れてしまう。この距離が地域の方との心の距離にならないことを祈る」と話している。


■大須中/独立から59年、バレー黄金期も

 1951年に旧船越中の分校として誕生し、58年に独立開校。開校当初と変わらない木造校舎が、ぬくもりあふれる学びやとして生徒を温かく見守ってきた。1733人の卒業生や地域に支えられ、校訓「自信と勇気」の下、59年間の伝統を築き上げてきた。

 ピーク時の62年は全校生徒が184人になるなど、にぎやかな時代もあった。77年は男子バレーボール部の黄金時代で、東北中総体を制し全国大会出場も果たした。卒業生にはVリーグ(現プレミアリーグ)のNECで活躍した藤井壮浩さんらがいる。

 本年度は大須中の歴史を振り返る「メモリープロジェクト」で地域住民に当時の様子を取材し、全校生徒で劇にも挑戦した。

 高橋琢哉校長は「震災以降『家族のために 地域のために』をスローガンに掲げ、地域の学校として社会で活躍できる人材を輩出してきた。雄勝地区のまちづくりを進める一つの核として地域と結びつける役目を担ってほしい」とこれからの学校に期待した。


■雄勝小/144年の伝統校、4度の津波克服

 1873年に第7大学区第2中学区80番小学校として開校。144年の歴史を誇り、本年度を含め卒業生は4480人。96年の大津波で校舎が倒壊し、雄勝小渕に移った。三陸大津波やチリ地震津波など、4度の大津波を経験している。

 東日本大震災では校舎と体育館が全壊した。河北中の校舎を2年間間借りした後、旧船越小と統合。2013年から石巻北高飯野川校の敷地内にある仮設校舎で学校生活を送る。

 新年度から雄勝に戻ることを考え、本年度は積極的に雄勝に出向いたり、雄勝石を使った陶器作りに取り組んだりして古里を肌に感じる機会を増やした。

 菅原美樹校長は「地域の人と支え合い、産業や文化、伝統を継承して古里を愛する児童の育成を望む。地域おこしを見据えた教育も必要。受け身でなく、外に向けて古里の魅力を発信してほしい」と期待を寄せ、「小中併設校なので9年間の一貫した取り組みもできるはず。少人数だからこそのフットワークを生かしてほしい」と話す。


■雄勝中/震災をばねにたくましさ希求

 1982年に開校し、35年間で2028人の卒業生を輩出してきた。中には宮城の強豪・仙台育英高で甲子園の土を踏んだ高橋左和明さんらがいる。

 東日本大震災後、当時の校長が定めたとされる「たくましく生きよ。」を校訓に、いかなる状況下でも自分の価値観に基づき、自分の人生に責任を持って生き抜くことを誓っている。

 震災で壊滅的な被害を受け、再び立ち上がるための模索が続いた。たどり着いたのは、雄勝地区伝統の「伊達の黒船太鼓」を守る活動だった。流された太鼓の代わりにタイヤを使用したので「復興輪太鼓」と名付けた。国内外のさまざまな場所に出向き、全国から受けた支援への感謝を胸に演奏に励んできた。

 鈴木雅行校長は旧桑浜小校舎を改修した子ども向けの複合型体験施設「モリウミアス」に着目する。「地域の人だけでなく、外から来た人とも接することができる絶好の場。大人と関わることで進路選択の幅も広がるはず」とタイアップに期待を寄せる。


※関連記事
「雄勝中、感謝胸に最後の卒業式 本年度で閉校し大須中と統合(2017.03.11)」
http://ishinomaki.kahoku.co.jp/news/2017/03/20170311t13009.htm
「プレハブ完成 雄勝小、引っ越し 船越小と統合 新たなスタート(2013.04.05)」
http://ishinomaki.kahoku.co.jp/news/2013/04/20130405t13002.htm


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