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2017.02.09

インタビュー>いしのまき・人模様 石巻専修大

石原慎士さん

◇石巻専修大経営学部教授 石原慎士さん(46)

<地域貢献活動を実践>

 サバだしラーメン、カニだしラーメン、魚の中骨を活用したレトルト…。次々に商品を生み出し、数々の賞を受賞するなど注目を集める石巻専修大経営学部の石原ゼミ。その発想は一体、どこから生まれるのか。

 石原慎士教授(46)は、2003年に着任した八戸大(現八戸学院大)で当時の学長から贈られた言葉が原点だ、と言う。

 『地域の問題解決に向けて、実践的に地域貢献する活動をしなさい』

 「そんな言葉を頂き、きょうは何をしたのか、頻繁にメールで問い合わせがくる。八戸ではとにかく、現場に足を運び続けた。現場を見ないと、現場が抱える問題は分かりません」

 収入が安定しないリンゴ農家の悩みを聞いた。調査しながら「市民が農業を支援する仕組みはできないか」と考えた。市民や生産者、学生たちと「はちのへ農援隊」を設立。活動は直売所の開設へとつながる。

 低迷する水産加工業を知ろうと浜にも通った。八戸はサバの水揚げが多く、「他の産地よりも粗脂肪分が高いのではないか」と気付いた。サバの粗脂肪分を分析し、八戸のサバの優位性を証明。「八戸前沖さば」のブランド確立につながった。

 「現場で問題を吸い上げ、解決策を考える。人々と連携し、実践する。八戸の体験が今の研究の源流です」

 名古屋市で生まれ、埼玉県所沢市などで育った。地方での暮らしにあこがれ、石巻専修大に入学。第1期生だった。高校で10年間、教壇に立った後、八戸大へ転職した。「地方の衰退が叫ばれていた時代。教師は当時、社会との連携が薄かった。地方のため、何か新しいことをしたかった」

 八戸大で7年間過ごし、母校の石巻専修大に移ったのが10年4月。その頃、合併で郡部のまちは元気を失っていた。着任早々、入り込んだのが石巻市飯野川地区だ。昭和の面影を残す雰囲気や町並みが気に入った。

 「石巻に来た春の5月には、住民たちとまちづくり研究会を発足させ、歴史などを調べ始めました」。さあ、これから、というときに東日本大震災が飯野川地区を襲う。

 「被災地にある大学として何ができるのか。学生たちで被災地から発信する食に取り組んでみよう、行動しよう、と話し合いました」

 飯野川地区の食文化を調べるうち、地区にはサバでだしを取る食文化があった。なぜ「サバだし」なのか。「地区の女性がその昔、石巻のさば節を作る加工場に働きに出ていた。その女性がさば節を地区に浸透させ、サバだしの文化が根付いたようです」

 学生たちが食堂に寝泊まりして開発した「飯野川発サバだしラーメン」は、地区の4店舗で提供され、評判を呼んだ。13年9月には市内の製麺会社、水産加工会社と連携して家庭用商品版を発売。昨年8月までの3年間で、食堂用と家庭用合わせて約29万食を売り上げた。

 「誰かに依存するのではなく、自らできることを行動に移す。でも、一人ではできない。有機的な連携が大事です」。昨年6月には石巻魚市場、JR、道の駅「上品の郷」、石巻商工会議所などと連携し「石巻フードツーリズム研究会」を発足させた。

 石巻の「食」「旅」の新たな展開を模索する。

■いしはら・しんじ
 1970年3月、名古屋市生まれ。石巻専修大経営学部教授。弘前大大学院修了、博士(学術)。八戸大ビジネス学部准教授、石巻専修大経営学部准教授などを経て2013年4月より現職。専門は地域産業論。道の駅「上品の郷」アドバイザーなどを務める。共著に「地域マーケティングの核心」(同友館)など。

(古関良行)


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