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2016.09.11

第2弾「石巻学」、発刊 港町と映画特集 19館あった時代も

港町・石巻の映画文化を特集した「石巻学」第2号の表紙(左)。裏表紙(右)には、鮎川でロケが行われた高倉健主演の「鯨と斗う男」のポスターがデザインされている

「石巻学」第2号の映画特集のために行われた座談会。往時の映画興行にまつわるエピソードで盛り上がった。石巻市内の喫茶店に集まった(左から)阿部和夫さん、菅原宏さん、稲井峯弥さん、進行役の大島幹雄さん

 地域誌「石巻学」の第2号が発刊された。特集は「港町シネマパラダイス」。かつて映画館を経営していた興行主たちによる座談会をはじめ、市民有志らの手作り上映会、石巻市出身の俳優や監督、ゆかりの映画人、ファンの思い出−などを満載。港町・石巻に華やぎをもたらした、市民が主役の映画を巡る物語が、1冊の本になった。

 第2号は、往時の港町・石巻の映画館のにぎわいを、作る人・見る人・見せる人が、それぞれの立場から語ったシネマ特集。

 座談会では、洋画ファンの拠点だった元テアトル東宝支配人の稲井峯弥さんと、岡田劇場で東映や東宝作品を上映した菅原宏さん(現オカダプランニング会長)の顔合わせが実現。石巻地方の戦後の映画興行を牽引(けんいん)してきた2人がそろった貴重な座談会を収録。大の映画ファンである阿部和夫さん(石巻市芸術文化振興財団理事長)も参加した。

 「佐々木小次郎」が大ヒットし1日4000人も入ったこと、「十戒」の宣伝で大きな看板を作り映画館の壁を覆ったこと、「鯨と斗う男」のロケでデビュー間もない高倉健が鮎川に来たこと−など、興行で生きてきた2人の興味深いエピソードがつづられている。

 阿部さんは記事も執筆。「昭和33年 石巻映画館散歩」と題して当時、石巻地方に映画館が19館もあったことをリポートしている。

<手作り上映会>

 自主上映会の活動にもスポットを当てる。1980年代以降に発足した映画サークルから、東日本大震災後に生まれたISHINOMAKI金曜映画館までを紹介。興行とは違った形で港町・石巻に活気をもたらしてきた手作り上映会。映画好きの市民らの群像劇である。

 港町・石巻は個性的な映画人たちも生んだ。その1人が俳優・監督として日本映画史を飾る石巻市生まれの小杉勇。彼の波乱に満ちた映画人生を、東京中日スポーツ記者の本庄雅之さんが浮き彫りにしている。

<由利徹を連載>

 新連載もある。「銀幕のなかの由利徹」だ。石巻市生まれの由利徹と長年、付き合ったメディアプロデューサーの澤田隆治さんによる“私説コメディアン由利徹”がスタートした。

 今も興行をしている日活パール(石巻市中央1丁目)支配人の清野太兵衛さんも、石巻の映画を語る上で欠かせない一人。昭和時代には吉永小百合や石原裕次郎の作品が人気を博し、5年前の震災を乗り越えた劇場の歩みを振り返る。

 聞き書き「あの劇場・あの映画 わたしの思い出」や、門脇小を記録した「津波のあとの時間割」を製作した青池憲司さんら監督へのインタビューなども掲載。港町・石巻に独自の文化を育み、市民の最大の娯楽だった映画の魅力を多角的に取り上げる。

 石巻学プロジェクト代表の大島幹雄さんは「映画を切り口に古里の石巻を見てみようと思ったが、映画にこんなに熱い港町は、ほかに知らない」と話す。

<荒蝦夷が発売>

 「石巻学」は、過去・現在・未来をつなぐ地域誌として昨年12月に創刊。第2号は定価1500円(税別)。荒蝦夷(仙台市)発売。A5判、128ページ。


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