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2016.03.27

震災遺構 石巻市長が表明 大川小校舎全部、旧門脇小一部保存

全部保存する大川小校舎

一部保存する旧門脇小校舎。現在はシートで覆われている

保存の判断について説明する亀山紘石巻市長

 東日本大震災で被災した学校校舎の保存について、石巻市の亀山紘市長は26日、大川小校舎を全部保存し、旧門脇小校舎を一部保存すると正式に発表した。

 遺族や市民の間では保存と解体をめぐって意見が分かれていたが、震災の意義をより明確に後世に伝えるために「保存」を選択した。

 市役所で記者会見した亀山市長は「震災の教訓を伝えることが最大被災地としての使命。次世代に伝承することで、今後の災害を最小限に食い止めたい」と説明した。

 児童と教職員計84人が死亡・行方不明となった大川小は、構造自体に問題がない校舎を現状のまま保存する。周囲を公園化した上で、慰霊と鎮魂の場と位置付け、犠牲者に祈りをささげる環境を整備するほか、「語り部」などと連携を図り、防災教育の場としての活用も図る。

 解体を望む遺族に配慮するため、植栽をして校舎を見えにくくする。事故防止のために周囲に柵などを設ける。

 火災と津波の痕跡を残す唯一の施設となる旧門脇小は、老朽化が進んでいるため部分的な保存にとどめる。保存範囲や、現地で保存するか切り取って隣接地に整備する復興祈念公園に移設するかなどは今後決める。周囲の土地区画整理事業が終了する2018年度までには結論を出す見込み。

 旧門脇小は、震災当時300人ほどいた児童のほとんどが近くの高台に避難して無事だったものの、門脇・南浜両地区では約540人が犠牲になった。保存形態によっては大川小同様、遺族に配慮し校舎の周囲を植栽する。

 被災自治体で1カ所の遺構の保存初期費用に認められる復興交付金は、旧門脇小校舎に活用する。

 両小の校舎とも新年度に地元の住民団体などと保存の在り方や公開の有無などで意見を聞き、細部を調整する。


◇亀山石巻市長、一問一答

 石巻市の旧門脇小、大川小保存について記者会見した亀山紘市長は、2校とも「重要な震災遺構」との考え方を示し、教訓の伝え方として実物を残す意義を強調した。一問一答は以下の通り。

−本年度に決断した理由は。

 「先延ばしせず、早く決めることで風化を防ぐと同時に教訓を伝承していく。震災から5年目の今の時期に決定すべきだと考えた」

−大川小も「震災遺構」と呼んでいいのか。

 「財源確保の問題で(保存の考え方を)分けているが、私としてはともに重要な震災遺構と考える。次の世代にしっかりと伝え、二度と犠牲者を出さない震災対応を目指したい」

−「保存」という判断の決め手は。

 「映像で残す形もあるが、やはり実物とでは伝わり方が違う。バーチャルではない現実の建物として保存することでこそ教訓が伝えられる」

−旧門脇小校舎の保存の在り方について検討する有識者委員会のようなものをつくるのか。

 「両校とも地域との意見交換はしたい。有識者委員会のようなものは現段階では検討していない。必要かどうかは今後の判断になる」

−大川小では津波災害をめぐる損害賠償請求訴訟が続いている。公園化などの整備着手時期に影響するか。

 「(着手時期は)慎重に対応したい。ただ、大川地区復興協議会などから要望があるトイレの整備などについてはできるだけ早く要望に応えていきたい。(訴訟終結前に)校舎に手を付けることはないが、危険箇所があれば、囲いをするなどの可能性はある」

−公園整備費をどれぐらい見込むか。

 「個人的には1億円ぐらいと考える」

−維持管理費の考え方は。

 「初期費用だけでなく、国に求めていきたいが、被災自治体として、ふるさと納税などを生かし、自主確保にも努めたい」


◇大川小、門脇小をめぐる動き

2011年3月
 東日本大震災が発生。大川小は児童・教職員84人が、門脇小は下校した7人がともに死亡・行方不明

2012年9月
 3.11震災伝承研究会が両小を含む県内46カ所の震災遺構の保存候補を発表

2013年11月
 国が震災遺構の保存で初期費用の負担方針示す

2014年12月
 県震災遺構有識者会議が門脇小の保存の必要性を総合評価。市震災伝承検討委員会が門脇小の保存を市に提言

2015年1月
 新門脇地区復興街づくり協議会が市の説明会で門脇小の解体を求める

2015年5月
 大川地区復興協議会が市に大川小の保存を求める

2015年10月
 両小の保存の是非を問う市民アンケートを実施

2015年12月
 市の庁内組織・震災遺構調整会議が両小の保存費用をまとめた報告書を市長に提出

2016年1〜2月
 震災時の両小在籍児童の意見を募集

2016年2月
 市民対象の公聴会を開催


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