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2016.03.25

石巻あゆみ野駅、地域のシンボルに 交通の利便性向上

柔らかなイメージのアースカラーの駅舎。無人の地上駅で面積は約41平方メートルとコンパクト。待合室とスロープが整備された

駅舎北側に整備された駅前広場。駅舎右側に公衆トイレがある。バス、タクシーの乗降場、駐輪場もある

新蛇田南地区を南北に走る新蛇田南1号線。奥に石巻あゆみ野駅舎が見える。西(右)側奥には東松島市の災害公営住宅がある

仮舗装した市道七反谷地93号線

 石巻あゆみ野駅は、JR仙石線陸前赤井−蛇田間(3.5キロ)で蛇田駅から1.4キロ先の無人駅。石巻市が事業費約4億8200万円を全額負担する請願駅で、1日約300人の利用を見込む。

 駅名は市が提案し「復興や新しい生活、未来への歩み」という思いを込めた。

 待合室やスロープが付いた駅舎に、4両編成の列車まで乗降できるホーム(長さ85メートル、上下線兼用)を設けた。JR東日本のIC乗車券「Suica(スイカ)」が利用できる。

 市は将来的に約5500人の新市街地居住を想定し、住民生活の利便性向上を目的に新駅設置をJRに要望。市とJRは2014年10月、新駅整備に関する基本協定を結び、15年2月に東北運輸局が認可した。同年4月着工し、駅舎本体はことし2月に完成、システム改修・設置を進めていた。

 新駅の開設は、石巻市西部で東日本大震災の被災者向け住宅地として整備が進む新蛇田、新蛇田南地区の「復興ニュータウン」で生活する住民の利便性をアップさせる。

 同じ新市街地の新蛇田南第2地区には、県石巻合同庁舎が移転新築される計画で、18年度に使用開始される。合庁利用者にとっても便利になる。

 近くに石巻西高や医療機関もあり、通学する生徒や患者らの大切な交通手段として期待を担う。

 近隣には大型商業施設や国の出先機関もあるほか、三陸自動車道石巻河南インターチェンジ(IC)、石巻港ICへのアクセスも良いため交通量は多い。新市街地と周辺地域は新駅開業で交通の拠点性が一段と向上し、今後行政機能の集積によって石巻市の「第2副都心」として発展が見込める。

 仙台−石巻間を最短52分で結ぶ快速路線「仙石東北ライン」の石巻あゆみ野駅への停車について、市は「JRは利用状況を見て検討するとしており、引き続き要望する」と話す。

<駅北側に広場、駐輪場も>

 石巻市は、石巻あゆみ野駅開業に合わせて、駅北側に駅前広場を整備した。公衆トイレ、公共交通機関などの乗降場を設け、屋根付き駐輪場(自転車231台、バイク6台収容)を造った。

 新蛇田南地区の土地区画整理事業地内に、約3000平方メートルの用地を確保。13年度に事業着手し、15年12月から工事を進めていた。事業費は約1億4200万円。

 駐輪場の整備には、JRに仙石線新駅設置を求めていた仮称柳ノ目駅設置促進期成同盟会石巻西高関係団体部会が石巻市に寄付した約451万円を充てた。

 また市は駅南側で、国道45号からのアクセス道路などの整備を16年度から3カ年事業で進める。

<路線バス乗り入れ、6月ごろ>

 石巻あゆみ野駅に6月ごろ、路線バスが乗り入れる。

 震災で公共交通を取り巻く環境が激変したことを踏まえ、石巻市は現行の総合交通計画に代わる「総合交通戦略(案)」(16〜25年度)を策定。路線バス再編後の「骨格路線」導入を打ち出し、蛇田・石巻・渡波線の経路に石巻あゆみ野駅を盛り込んだ。JR仙石線新駅の開業、新市街地の整備を踏まえた。

 経路は渡波−さくら町−中心市街地−石巻駅−大街道−石巻あゆみ野駅−のぞみ野(新蛇田地区)−蛇田(イオンモール石巻・石巻赤十字病院)。

 最低でも1時間に1便運行し、分かりやすく利用しやすい運賃を設定する。

 市は、復興事業に伴う住居形態や人口分布の変化、仙石・石巻両線の全線復旧、市立病院の再建などから現行計画を見直し、調査や検討を進めた。16年度に実施計画をまとめ、18年度に事業や施策の実施に乗り出す。


◆東松島市民、旧矢本町時代から新駅訴え

 石巻あゆみ野駅の開業は、東松島市民にとっても大きな喜びだ。

 東松島市では、旧矢本町時代から市民有志らが仮称柳ノ目駅設置促進期成同盟会を結成するなど、赤井地区に新駅の設置を働き掛けていた経緯がある。

 1998年12月には同盟会の石巻西高関係団体部会が1万2000人分の署名簿を石巻市長に、同盟会が知事にそれぞれ提出。陸前赤井駅−蛇田駅間は3.5キロと仙石線の各駅間の中で最も長く、両駅間の住民は最寄りの駅を利用する際、自転車や自動車を使っているのが現状として新駅の必要性を訴えていた。仙台圏への通勤客ら仙石線利用者がマイカーを駐車し乗り継いでもらうパーク・アンド・ライドの整備も要望していた。

 赤井地区での新駅設置は実現しなかったものの、近くに石巻あゆみ野駅ができたことで、石巻運転免許センターや石巻市新蛇田南第2地区に移転する県石巻合同庁舎など公的施設への行き来が便利になる。東松島市民にとってもメリットは大きい。

 阿部秀保市長は「駅が観光振興などに果たす役割は大きく、交流人口の期待も担っている。新駅の開業は今後、周辺の土地利用にも刺激を与えるはず」と話している。

 パーク・アンド・ライドについては、現時点では国、県からの財政支援が難しいことから苦慮しているのが実情だが「これまでの経緯や地域、石巻圏域の発展のためには必要」と強調。石巻市、女川町との共通理解の上、整備を進めていきたいとしている。

 市道七反谷地93号線を仮舗装(延長265メートル、幅2.5メートル)するなど、周辺道路の整備も着々と計画中。今後予想される周辺道路の交通渋滞の緩和などに向けても対策を講じていく。


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