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2015.11.12

大震災・伝承のかたち〜「阪神」被災地報告(下) 震災遺構

阪神大震災の数少ない遺構の一つ「メリケン波止場の岸壁」。静かに波に洗われていた=10月22日、神戸市中央区

 「タクシーの運転手でも(遺構の場所を)知らない人がいる」

 みらいサポート石巻(石巻市)などが10月下旬に実施した阪神大震災の被災地視察で、現地でコーディネートした「人と防災未来センター」の石原凌河研究員が説明する。

 訪れたのは、被災地に残る数少ない震災遺構の一つ、メリケン波止場の岸壁の一部(延長60メートル)がある神戸港震災メモリアルパーク(神戸市中央区)。年間約50万人が来館するセンターのにぎわいとは裏腹に、人影は少ない。当時の被災状況を伝える展示物も色あせ、寂しさが漂う。

 観光客の多くは、すぐ近くの神戸ポートタワーやメリケンパークに向かうという。震災から20年。震災記憶の風化をうかがわせる一例だ。

 石巻市の南浜地区では国、県、市による復興祈念公園が2020年度をめどに整備される。東日本大震災の教訓を世界に発信するとともに、交流人口増への期待も寄せられる。

 神戸の祈りの場としては、毎年1月17日に竹灯籠が並ぶ市役所近くの東遊園地がよく知られる。一方で神戸港メモリアルパークは、印象が薄い。石巻の復興祈念公園は神戸の事例も参考に、最大効果が得られる施設づくりが求められる。

 視察の最後に訪ねたのが神戸市長田区の野田北部地区。阪神大震災時には自発的に災害対策本部を設置し、救出活動や支援物資の集配などを展開した。その後のまちづくりでも、既存のまちづくり協議会や商店会、婦人会などを結ぶ「野田北ふるさとネット」を築いた。協働と参画のまちづくりの先進地だ。

 震災から15年目の2009年、地区内に「野田北部・たかとり震災資料室」が設立された。多くの写真や映像資料で地区の復興の歩みと今を伝える。地域の住民が運営に当たる震災伝承の拠点だ。石巻のこれからの取り組みに大いに参考になる。

 石巻市では、公民館など公的機関とNPO、地域住民をつなぎ、震災体験の伝承や震災教育の活用の方策を共有する場がないのが現状。文部科学省の事業採択を受けた東北大災害科学国際研究所は、12月中に関係機関、団体を対象に研究協議の場を持つ予定だ。

 3月に同市中央2丁目に情報交流館中央館が開館し、5月にはすぐ近くにみらいサポート石巻が運営する震災伝承施設「つなぐ館」も拡大オープン。震災後の交流人口拡大策などを検討してきた「石巻ビジターズ産業ネットワーク」も震災伝承部会を設置するなど活動を本格化させている。

 視察に参加した石巻市中央公民館の松川啓悦館長は「学びを通した地域活性化に公民館として貢献したい」と意欲を示す。「情報交流館、祈念公園との連動も大切になる。各施設が自主的に特色を出すことが求められる」と話した。


※大震災・伝承のかたち〜「阪神」被災地報告(上) 体験学習
http://ishinomaki.kahoku.co.jp/news/2015/11/20151111t13008.htm


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