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2015.01.01

被災地に光 鉄路全線復旧 6月、石巻と仙台直結

陸前大塚駅を出ると、列車は高架橋で東名、野蒜両駅がある高台へと向かう。延長385メートルで、最大高は12メートル=東松島市大塚

 東日本大震災で被災したJR仙石線が6月までに全線で運転を再開する。仙台−石巻間を走る仙石線は石巻地方の住民にとって貴重な通勤・通学の手段。震災で寸断され、不便を余儀なくされた被災地は完全復活を心から歓迎する。

 沿線自治体の石巻市などは「利便性が向上し、交流人口の増加につながる」と期待。市が請願駅として計画する新蛇田駅(仮称)も4月に工事が動きだす見通しだ。

 石巻線も3月に全線で再開。鉄路の再生は被災地の希望となる。


◇仙石線/新請願駅の整備着手へ

 仙石線は現在も高城町−陸前小野間(11.7キロ)で運転を休止している。復旧工事を進める東松島市内の陸前大塚−陸前小野間で、約3.5キロの区間が約500メートル内陸側に移設される。

 仙台を出発した列車は陸前大塚を通過後、高架橋(延長約385メートル)を経て高台の野蒜北部丘陵に向かう。車窓には松島湾の絶景が広がる。

 野蒜北部丘陵は市が集団移転先として整備する大型住宅団地。広さは約90ヘクタール。宅地の供給は早い区画でも2016年7月と少し先だが、計画人口約1370人、448戸の「新しいまち」ができる。

 造成を終えた現場ではレールが延び、新しい野蒜駅、東名駅(待合室)も姿を見せ始めた。2014年12月14日には東名駅でレールの締結式が行われた。今後、工事車両の走行や各種試験を重ね、15年6月までに運行を再開する。

 14年11月、石巻市は新蛇田駅(仮称)の16年3月開業を目指し、JR東日本と整備に関する基本協定を結んだ。全線復旧を見越した動きで、JR東は今月末にも新駅の認可を東北運輸局に申請する。

 新駅が計画されるのは陸前赤井−蛇田間。市は駅近くに防災集団移転団地を整備し、約5000人の居住を想定する。住民の生活の利便性を向上させるため、新駅設置を要望していた。

 仙石線は全線復旧に合わせて東北線にも乗り入れる。仙石線松島海岸−高城町間と東北線塩釜−松島間で両線が近接する区間に接続線を設け、「仙石東北ライン」として約1時間で仙台−石巻間を結ぶ。

景観に配慮し駅舎デザイン

 新しい野蒜駅、東名駅の建設場所は国の特別名勝・松島の地域内。駅舎外壁の色合いや屋根の形状などは、景観を損なわないよう配慮した。高架橋も橋脚間の間隔を長くするなど、デザインに工夫が凝らされた。

 野蒜駅は勾配のある屋根で、外壁は濃い茶色と黄土色でストライプを描き、落ち着いた中にもモダンさを演出した。待合室タイプの東名駅も濃淡の茶色が基本だ。JR東日本東北工事事務所は「新しいまちのシンボルになるよう計画した」と説明する。


◇石巻線/女川駅、3月21日開業

 女川町のJR石巻線浦宿−女川間は3月21日に運転を再開し、全線がつながる。翌日には女川駅に併設の町営「女川温泉ゆぽっぽ」もオープンする。

 石巻線は石巻−渡波間が2012年3月、渡波−浦宿間は13年3月に運転を再開した。震災の津波で大きな被害を受けた鉄路が全線復旧するのは県内で最初になる。

 女川駅の新駅舎は、かさ上げした中心市街地に町が建設し、駅舎部分をJR東日本に無償貸与する。ゆぽっぽは震災前、駅に隣接していた。中心部の造成地に初めて建設された3階の大型施設は延べ床面積約900平方メートル。1階が駅、2階がゆぽっぽで、3階は展望フロアが設けられる。

 屋根のデザインは翼を広げる海鳥をイメージした。複合施設の完成は、復興に向かう町民の気持ちを後押しする。さらに多くの人たちを女川に呼び込む力になるのは確実だ。

 駅前から女川港にかけてプロムナードを整備し、商業エリアを形成する計画も進められる。全線復旧、複合施設のオープンは駅を中心に、にぎわいを取り戻す大きな一歩となる。


◇交流人口増加に期待、石巻地方3首長が歓迎

 再生、拡充が図られる交通網は、石巻地方の復興、発展に大きな力を与える。

 石巻市の亀山紘市長は「仙石線は通勤通学に重要な役割を担う。定住化促進に欠かせない。三陸道の4車線化は石巻−仙台空港間の時間を短縮させる」と期待する。

 「レールは全国につながる。三陸道の4車線化も重なり、交流人口は増える」と見通すのは東松島市の阿部秀保市長。「東松島の復興で産学連携が大きな推進力になった。交通インフラの整備は、その力をより拡大、加速させる」と語る。

 女川町の須田善明町長は「石巻線の全線復旧と女川駅開業は復興期間前半の大きな目標だった。町民に加え、震災後も訪れてくれる大勢の人たちの利便性が間違いなく向上する」と歓迎する。

 町が長年要望してきた仙石線の女川駅乗り入れも仙石線のディーゼルハイブリッド車導入で、最大の障壁だった電化方式の違いが解消される見込み。「町として応分の負担はする」(須田町長)と実現に向けて働き掛けを強める考えだ。


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