(175)言葉あそび

 今から52年前、大学1年の時、音声学の講義で英語学の権威とされる教授が最初に述べた言葉が今でもよみがえってきます。

 「あかさか」と言って、先生は黒板に「AKASAKA」と記しました。「前から読んでも後ろから読んでも『アカサカ』ですね」。

 なぜこのようなことを言い出したのか、今でもよく分かりませんが、アルファベットの文字列にもこのようなことがあるのだと、ちょっと驚いたしだいです。

 前から読んでも後ろから読んでも意味が同じなのは「回文」と言います。「竹藪焼けた」などがよく知られています。「あかさか」はそうではありませんが、AKASAKA と表記すると回文の一種になるようです。

 英語の回文でよく知られているものは、Step on no pets.(ペットを踏まないで)、Was it a rat I saw?(私が見たのはネズミかしら?)など。

 回文は英語で Palindromes(パリンドローム)と言いますが、私がこれまで出合ったものでインパクトを受けたものは次の文です。

 Madam, I’m Adam.(マダム、私はアダムです)。大文字に直すと、MADAM I’M ADAM.

 旧約聖書の創世記に記された人間の誕生は「神は粘土でアダムを創り、命を吹き込んだ…また、アダムの肋骨からイヴを創った…」とあります。

 Madam, I’m Adam. は、この劇的な場面を一層ドラマチックにしているように思えるのです。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)

【2019年2月28日(木)石巻かほく掲載】