俳句(2/3掲載)

俳句

【石母田星人 選】

===

立春の陽を受け吾子の歩みだす  (東松島市あおい・大江和子)

【評】あす4日は立春。寒明けと言われても、春は遠い気もする。だが、確実に日照時間は延びて昼間が長くなっている。陽光に包まれてみると、寒中の頃に比べ、日差しの色合いとあたたかさが微妙に変化していることに気付く。「吾子の歩みだす」の表現には、自分の子どもだけではなく、厳しい寒をくぐり抜けた全ての人へのエールが込められている。

===

寄鍋の湯気の向こうに大家族  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

【評】旬の魚介や野菜、肉などが入る寄鍋。そんな定番とは別に、家庭ごとに特別な食材があるものだ。この家の鍋にもきっとこだわりの材料がある。それとともにこの鍋には秘伝の隠し味がある。それは家族の笑顔。勢ぞろいの喜びはうまさを一層引き立てる。

===

震災の話題途切れる初御空  (石巻市大森・横山つよし)

【評】二人で見上げた元日の空。その荘厳な光景にさっきまで語っていた震災の話が途切れてしまった。胸いっぱいに広がってゆく空に慰められている作者。

===

農始土盛り上げる土竜かな  (東松島市矢本・奥田和衛)

【評】農始(のうはだて)は、新年の農家の仕事始め。雪の少ない畑に出てみるとモグラの塚。モグラは掘った土を巣の外に積み上げる習性がある。土の匂いがする一句。

===

繭玉に福助も吊り道の駅  (石巻市相野谷・山崎正子)

初明り裏上品の藍深し  (石巻市小船越・三浦ときわ)

上品山を仰げば淑気つたはりぬ  (石巻市飯野・高橋芳子)

津波来た海へ拳や寒稽古  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

初場所の大入の幕墨太し  (東松島市矢本・雫石昭一)

雨あしに遅速ありけり春を待つ  (東松島市矢本・紺野透光)

遠く見るムンクの叫び初電車  (仙台市青葉区・狩野好子)

貨物車の軋む鉄橋冬銀河  (東松島市新東名・板垣美樹)

雪しまく幹に孤高の無言かな  (石巻市開北・星雪)

春浅し両手でつつむカフェオーレ  (東松島市矢本・菅原京子)

旅誘ふ折り込み入る寒の内  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

温き風冬の隙間をかいくぐり  (石巻市門脇・佐々木一夫)

手袋に息を重ねてバスを待つ  (東松島市矢本・菅原れい子)

伸び代のたっぷり余生明けの春  (石巻市中里・川下光子)

山茶花や子の足どりに追ひつけぬ  (石巻市中里・鈴木登喜子)

手のしわをさすりひと日の炬燵かな  (石巻市駅前北通り・津田調作)

【2019年2月3日(日)石巻かほく掲載】

■作品を募集中

 短歌、俳句、川柳を募っております。皆さんの力作をお寄せください。

 募集要項は次の通りです。

 短歌、俳句、川柳とも必ずはがきを使い、1枚に3首・句まで。いずれも自作の未発表作品に限ります。作品は返却しません。

 作品と同じ面(裏面)に氏名(筆名の場合は本名も)・住所・年齢(学年)・電話番号を記し、〒986-0827石巻市千石町4の42、三陸河北新報社編集部・文芸係(短歌、俳句、川柳を明記)まで。連絡先は0225(96)0321。