(168)ある愛の詩

 もうすぐクリスマス。この時期、思い出すのは映画の一場面です。「ある愛の詩(うた)( Love Story )」(1970年、アメリカ映画)。

 大富豪の息子オリバー(ライアン・オニール)と、イタリア系移民の娘ジェニファー(アリ・マッグロー)との悲恋物語。「愛とは決して後悔しないこと」“Love means never having to say you’re sorry.”という名セリフと、フランシス・レイの詩情あふれるテーマ音楽で当時の若者の心をとらえた作品です。

 クリスマスが近づく寒さの中、生活費をかせぐためにオリバーは屋外のツリー売り場で働きます。なるほど、アメリカにはこんなアルバイトがあったのだと驚くと同時に、これはわが国の正月の松飾りを売る露店でバイトする学生と同じではないかと思ったしだいです。かたや、ジェニファーは教会で子どもたちにクリスマスキャロルの指導のアルバイトを。

 仕事を終えたオリバーが教会でその様子を眺めていると、レッスンを終え疲れ切ったジェニファーがそばに座ります。

 オリバーの言葉「いつの日かこのことはいい思い出になるだろうね」
 “Some day, we’ll look back on these days …”

 これに対してジェニファーは「その日が一日も早く来てほしいわ」
 “The sooner, the better.”

 このセリフは「早ければ早いほどよい」という意味でよく用いられる慣用句ですが、いくら苦しくてもユーモアを忘れないジェニファーの高潔で優しい人柄をよく表していると思います。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)

【2018年12月20日(木)石巻かほく掲載】