俳句(12/9掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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小春日や月命日の浜掻かれ  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

【評】東日本大震災から7年8カ月となる月命日は穏やかな天候になった。浜辺には漂流物をかき分けるレーキやとび口の音が響いた。掲句はその音に焦点を当てている。毎月響くこの音は不明者発見につながる希望の音。懸命に続く捜索に頭が下がる。

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襟巻の幅に項を沈めけり  (東松島市新東名・板垣美樹)

【評】身支度のときには緩やかに巻いていた襟巻。だが一歩外に出ると、思いの外、寒さが厳しかった。首をすくめながら、しっかりと巻き直したのだろう。そんな日常の一瞬を詠んだだけのようにも見えるが、描写が丁寧でイメージが膨らんでくる。特に中七以下「項を沈めけり」の表現が面白い。この詠嘆で辺りの風の冷たさがひしひしと伝わってくる。

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ふくめ煮の蓋のつぶやき風花す  (石巻市相野谷・山崎正子)

【評】材料は大根。多めの煮汁で味を染み込ませるように長時間煮る。室内の「蓋のつぶやき」と戸外の「風花」。この動と静の対比が一句を支配している。

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飛ばされし冬帽犬と追ひにけり  (東松島市矢本・紺野透光)

【評】散歩途中だろうか、風に飛ばされてしまった冬帽。一大事なのだが、犬の存在があるから深刻さは全くない。かえってほほ笑ましい光景になった。

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船玉に捧げるお神酒寒造  (石巻市門脇・佐々木一夫)

幾何模様残し刈田の匂ひけり  (石巻市桃生町・西條弘子)

水紋の広がる朝や浮寝鳥  (東松島市矢本・雫石昭一)

枇杷の花老婆同時に喋り出す  (石巻市中里・川下光子)

柿たわわふっくら顔の子らに似て  (石巻市駅前北通り・津田調作)

神仏は家毎おわす根深汁  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

木枯しや夫の影さすハイボール  (石巻市大森・横山つよし)

年配の笑顔を囲む紅葉かな  (石巻市北上町・佐藤嘉信)

被災地をたすきでつなぐ秋日和  (石巻市元倉・小山英智)

淡淡と時を刻んで師走かな  (石巻市中里・須藤清雄)

菜園の大根きおいて葉色濃し  (仙台市青葉区・狩野好子)

山紅葉わたくしよりもあでやかに  (東松島市矢本・菅原れい子)

三台のタイヤ替える子小六月  (石巻市南中里・中山文)

句の中の辛さ悲しさ花八ツ手  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

小春日や老犬そばに一休み  (石巻市中里・鈴木きえ)

肩さきにあなたを連れて秋あかね  (石巻市三輪田・日野一枝)

【2018年12月9日(日)石巻かほく掲載】

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