2018/11/01~05 石巻市出身・鈴鹿景子さん演出「楽屋」「忘れられたら」@東京

観賞記>演出家・鈴鹿景子(石巻出身)がいた

 いつもなら石巻市出身の女優鈴鹿景子さん-と紹介するところだが、今回は演出家としてお会いした。

「楽屋」

「楽屋」の一場面(写真提供・鈴鹿景子事務所)

 11月初め、京浜東北線の大森駅で下車。駅近くのビルにある鈴鹿景子事務所アトリエで2本の芝居が上演された。清水邦夫作「楽屋」と門肇作「忘れられたら」である。2本、同時に演出したのが鈴鹿さんだった。

 「楽屋」は、出番に向けてメークしたり、セリフを確認したりと、楽屋で準備する女優たちの話。が、なかなか出番は来ない。やがて一つの真相が浮かび上がる。役者の“性(さが)”を女優4人が体現する。

 「忘れられたら」は1988年、97年、2009年と三つの時代を通して、幸せを求めて懸命に生きた一人の女性の物語。声優で地下アイドルの佐々木麻衣さんを使ったところがミソ。鈴鹿さんも「役者とはまた違う感性が面白い」と語っていた。

「忘れられたら」

「忘れられたら」の一場面(写真提供・鈴鹿景子事務所)

 全く内容が異なる作品の演出は挑戦だったに違いない。鈴鹿さんは「私自身の役者としての経験が生きた。彼らに自由を与えることで役を創りあげ命を吹き込んでくれた。例えば『楽屋』。重苦しいイメージがあったが、彼女たちは客席から笑いを取った。哀しいだけでない、愛すべき存在に変えた」と強調した。

 熱演したばかりの佐々木さんに話を聞くことができた。「1988年という設定。まだ生まれていなかったので、どんな時代だったのか、うまくつかめなかった。鈴鹿さんが想像できるように具体的に世界を示してくれた。稽古の時の鈴鹿さんですか、怖くありませんでした。毎日が貴重な経験でした」と感謝する。

 その日の反省会では「あのシーンは大人のままではなく、子ども時代に返った方がいいよ」と、鈴鹿さんが演出家として佐々木さんに助言、「あっ、次から意識してみます」とやりとりしていた。舞台に完成はない、日々進化し続けるもの。

 二つの芝居を舞台袖からじっと見つめていた鈴鹿さん。演出家の顔だった。

 朗読劇「八月の蒼い空」をライフワークとする一方、今後は演出家としても鈴鹿さんの舞台を見られる機会が増えそうだ。(久野義文)

【2018年12月2日(日)石巻かほく掲載】


鈴鹿さん演出
二つの芝居
来月1日から、東京

 石巻市出身の女優・鈴鹿景子さんが本格的に演出する芝居が2本、11月1日から東京の鈴鹿景子事務所アトリエで上演される。

 清水邦夫作の「楽屋」(4日まで)と門肇作の「忘れられたら」(5日まで)の2本。二つの戯曲を交互に上演する。

 「楽屋」は、女優4人のみの舞台。出番に向けて楽屋で奇妙な会話が繰り広げられる。

 もう1本の「忘れられたら」は、幸せを求めて懸命に生きる1人の女性の三つの時代(1988年、97年、2009年)の物語。

 鈴鹿さんは「『楽屋』は最も女優がやりたがる戯曲の一つ。『忘れられたら』には、地下アイドルの佐々木麻衣さんが挑む。彼女の感覚がユニーク。私自身、完成が楽しみ。女優としての体験を生かした演出を心掛けたい」と話す。

 チケットは両作品とも前売り2500円(当日2700円)。連絡先は090(2886)6786。

【2018年10月28日(日)石巻かほく掲載】