俳句(11/25掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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喪の家の掃きよせてある紅葉かな  (石巻市小船越・三浦ときわ)

【評】俳句独特の表現に「紅葉かつ散る」がある。紅葉が鮮やかに色づく一方で、先に紅葉した葉が散り始めるという状態をさす。この句はまさにその光景。訃報を聞いて駆け付けた門のそばに、掃き集められた散紅葉。遺族は失意と多忙のさなか。そんな状態でも弔問客を迎える前になされた落葉掃き。心遣いに頭が下がる。故人を悼むごとく散り続ける紅葉が悲しい。

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交差する飛行機雲や冬日和  (仙台市青葉区・狩野好子)

【評】青天のキャンバスに描かれた鮮やかな白線。交差した雄大な模様に心奪われた作者。くっきりした飛行機雲は上空に水分が多いため発生する。鮮やかに見えた翌日は雲が多く曇りか雨になる可能性が高い。穏やかに晴れる冬日和もなかなか長続きしない。

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膝小僧抱えて一日日向ぼこ  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

【評】「膝小僧を抱える」は独りで寂しくいるさまなどに使われるが、季語「日向ぼこ」の力で深刻さがない。頭の音を「ひ」でそろえて韻を意識している。

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無骨なる夫のやさしさ猫じゃらし  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

【評】無骨には多くの意味があるがここは「硬くてごつごつした状態」の意味が合う。この語と軟らかい猫じゃらしの対比がいい。二つをつなぐのは優しさ。

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境内の朝の箒目霜真白  (東松島市矢本・紺野透光)

初霜や河原に竈並びをり  (東松島市矢本・雫石昭一)

秋耕や七十八の息荒し  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

短日や生き物の影うすくなる  (石巻市駅前北通り・小野正雄)

栗御飯に笑顔が浮かぶ夫の忌  (石巻市大森・横山つよし)

ただ夫の写真で足れり星月夜  (石巻市開北・星雪)

戸を開けてスプレー菊の風の庭  (石巻市飯野・高橋芳子)

山肌をわずかに染める秋の色  (石巻市北上町・佐藤嘉信)

行く秋の海に忘れぬ事ばかり  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

気嵐や海の魂漂ひて  (石巻市門脇・佐々木一夫)

あるじなき机に秋の灯をともす  (東松島市矢本・菅原れい子)

夕陽浴び白鳥の群戻り来る  (石巻市南中里・中山文)

マイク持つ細き眉毛の秋袷  (石巻市中里・川下光子)

霧の夜の汽笛ふくらむ港町  (石巻市向陽町・佐藤真理子)

馬小屋の敷き藁白き冬日かな  (東松島市新東名・板垣美樹)

陽明門を正面にして初紅葉  (石巻市中里・鈴木登喜子)

【2018年11月25日(日)石巻かほく掲載】

■作品を募集中

 短歌、俳句、川柳を募っております。皆さんの力作をお寄せください。

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 短歌、俳句、川柳とも必ずはがきを使い、1枚に3首・句まで。いずれも自作の未発表作品に限ります。作品は返却しません。

 作品と同じ面(裏面)に氏名(筆名の場合は本名も)・住所・年齢(学年)・電話番号を記し、〒986-0827石巻市千石町4の42、三陸河北新報社編集部・文芸係(短歌、俳句、川柳を明記)まで。連絡先は0225(96)0321。


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