(164)ローカル

 「裏をみせ表を見せて散るもみじ」
 良寛さんが詠んだとされる歌です。紅葉が風に舞う今日この頃、行く秋を惜しむかのように「ローカル線の旅」といった新聞広告や駅のポスターに見受けられます。

 この「ローカル」は、どことなく郷愁をさそう言葉です。田園地帯をトコトコ走る列車。車内には農家の伯母さんや女子高生の声があふれる…。こんな風景を連想してしまいます。「田舎」「地方」「古き良き昔」「素朴さ」をすべて包み込んだ響きが感じられるのが「ローカル」です。

 この言葉は、英語の local に由来しますが、気をつけたいのは日本語の「ローカル」と違い、local には「田舎の」といった意味はないということです。

 local は「その土地の」「ある地域(地方)の」を意味し、たとえば、a local custom は「その土地(地方)の習慣」、新聞においては a local paper は全国紙に対する「地方紙」となります。

 「インバウンド」に対応して最近、日本語の他に英語、中国語、ハングルの表示が標準になってきましたが、一つ気になる言葉あります。

 「各駅停車」の英訳が local train となっているのです。急行や新幹線が都市間を結ぶのに対して、その土地その土地を一つ一つ止まっていくからだとは思いますが、英語圏の人には意味不明のようです。non-express(急行ではない)あたりが適訳でしょうか。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)

【2018年11月22日(木)石巻かほく掲載】


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