(159)スペルとスペリング

 海外からやってきた人とかなり親しくなった段階で、お互いの名前を言い合う場合に、正確を期すため知りたいのはその綴(つづ)りです。また、地名など、やりとりの中で出てくる語もそうです。もっとも、英語圏の人との場合ですが。

 私は、まず自分から言うことにしています。“My name is Koichi…k,o,i,c,h,i…”その上で“How do you spell your name?”「あなたの名前はどう綴りますか?」

 このように「綴る」という動詞の意味での spell は正しいのですが、私たち日本人が日常的に間違って使うのは、この言葉なのです。

 私たちは「その単語のスペルは?」とよく口にします。「スペル」は、もう日常の日本語の中に定着していると言えるでしょう。

 ただ、あまり目くじらを立てることはないとは思いますが、英語を学び教える者としてはちょっと気になるところ。

 spell は動詞として用いるときは「~を綴る」ですが、名詞の spell はまったく別物。「ひと続き」さらには「呪文(じゅもん)・まじない」「魔力」といった意味になるのはご存知でしょうか。

 「綴り」にあたる英語は spelling(スペリング)が正しいのです。

 そう言えば、ソウルの王様レイ・チャールズの代表曲“Unchain My Heart”(私の心の鎖をはずしてくれ)に“I’m under your spell…”(俺はまるで お前の呪文にかかったみたい…)という一節があります。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)

【2018年10月18日(木)石巻かほく掲載】


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください