俳句(10/14掲載)

俳句

【石母田星人 選】

===

田の神は身じたく終へてもみぢ坂  (石巻市大森・横山つよし)

【評】日本中に「山の神と田の神」の伝承がある。春になると山の神が人里に下りて来て田の神となり、里人と一緒に稲の成長を見守り、秋の収穫の後に山へ帰って再び山の神になる、という内容だ。掲句はこの伝承を基に詠まれている。春は満開の桜を眺めながら下りて来た神。秋は紅葉の中を帰って行く。「神の身じたく」とは、山々を彩る装いのこと。豊かな実りをもたらしてくれた神への感謝が詰まった一句。

===

ひそひそと茸の山に潜りけり  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

【評】あまり人には教えたくない秘密のキノコ山。目指す場所に近づくと小声になった。相手はキノコ。聞こえるはずもない。はやる心が小声にさせたのだ。きっと猟師のような顔つきになっていたに違いない。

===

一輪の花に群がる秋の蝶  (石巻市北上町・佐藤嘉信)

【評】秋の林に目撃した蝶の乱舞。秋の蝶というと疲弊した哀れなイメージがある。その印象を覆すかのように目前で繰り広げられる命の躍動。印象鮮やか。

===

秋夕焼なじみのうすい町照らす  (仙台市青葉区・狩野好子)

【評】単に夕焼と言えば夏の季語。秋は夏と違ってすぐに消え寂しさを伴う。そんな夕焼に包まれた町。知らないはずなのになぜか懐かしさを覚える作者。

===

稔田へ星の囁き降るやうに  (石巻市相野谷・山崎正子)

地球儀に津波疵なし梨実る  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

弔電を例文で打つ秋の暮  (東松島市矢本・紺野透光)

傷癒えぬ津波七年秋の墓  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

三日月の細き光や水鏡  (東松島市矢本・雫石昭一)

歩道橋のぼればいよよ天高し  (石巻市小船越・加藤康子)

蟷螂や雨上がり待つコンバイン  (東松島市新東名・東奈美)

夕映えに染まり行く空賢治の忌  (石巻市南中里・中山文)

日曜の匂ひ降りくるきのこ飯  (石巻市開北・星雪)

ジャズの音の町の谷間に秋の風  (石巻市中里・鈴木登喜子)

ペタル踏むコスモス畑右にして  (石巻市のぞみ野・阿部佐代子)

かさ上げの土手に花野の兆しかな  (石巻市中里・上野空)

夕顔の待ち人ありて香り放つ  (東松島市矢本・菅原れい子)

窓の外ひらりと小鳥飛び去りぬ  (石巻市三ツ股・浮津文好)

消防署と医院派出所小鳥来る  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

名月やきっと見ている子と孫も  (石巻市向陽町・蟻坂利江)

【2018年10月14日(日)石巻かほく掲載】

■作品を募集中

 短歌、俳句、川柳を募っております。皆さんの力作をお寄せください。

 募集要項は次の通りです。

 短歌、俳句、川柳とも必ずはがきを使い、1枚に3首・句まで。いずれも自作の未発表作品に限ります。作品は返却しません。

 作品と同じ面(裏面)に氏名(筆名の場合は本名も)・住所・年齢(学年)・電話番号を記し、〒986-0827石巻市千石町4の42、三陸河北新報社編集部・文芸係(短歌、俳句、川柳を明記)まで。連絡先は0225(96)0321。