俳句(9/16掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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花火音遠き空爆うづくなり  (石巻市飯野・高橋芳子)

【評】一般的には楽しんで見上げる花火。だがこの作者は、花火の音を聞くと、幼い頃に体験した空爆の記憶がよみがえってくるというのだ。下五の「うづくなり」は、心が脈打つようにずきずき痛むこと。深い傷が癒えないのだ。戦後はまだ終わっていない。

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仏間まで来よ浜木綿の花の風  (石巻市相野谷・山崎正子)

【評】浜木綿(はまゆう)の花は盛夏の夕方咲き始めて、深夜に満開になる。いい香りを放つ白い花なので真夜中でも見つけやすい。『万葉集』にも詠まれていて古くから親しまれている花だ。掲句は夕暮れの景なのだろう。故人の好きだった花の匂いを嗅がせてやりたい、その思いが仏間まで夕風を通した。中七「来よ」がいい。懇願の意も込められた穏やかな命令形だ。

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八月六日舫ひし舟の揺れ通し  (石巻市桃生町・西條弘子)

【評】8月6日は広島忌。現在も数多くの被爆者が放射能の後遺症に悩まされている。もやい舟の揺れの描写だけで、日常の大切さを教えてくれる一句。

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歓声が空にひろがる赤とんぼ  (石巻市北上町・佐藤嘉信)

【評】ラグビーだろうか野球だろうか。歓声が沸き起こった。折しも大空を覆い尽くすほどの赤とんぼ。素晴らしいプレーをたたえる声が真っ赤に染まった。

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新涼や峰を流るる雲一つ  (東松島市矢本・雫石昭一)

ぼんやりと重なり合うや処暑の山  (仙台市青葉区・狩野好子)

潮の香や日和大橋鰯雲  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

秋冷の吾妻小富士は笠の雲  (石巻市相野谷・戸村昭子)

手枕でシャンソン聞くも夜半の秋  (東松島市矢本・紺野透光)

縫ひぐるみ布団に入れて夜長かな  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

思いきり落書したき秋の空  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

シーソーをひとり占めする秋茜  (石巻市南中里・中山文)

記憶沁む町並み淡し晩夏光  (石巻市開北・星雪)

眠られぬ子に添寝する野分かな  (石巻市中里・鈴木登喜子)

曾祖父の瞳真つ直ぐ秋澄みぬ  (東松島市新東名・東奈美)

地蔵盆太鼓たたくや無の境地  (石巻市中里・鈴木きえ)

秋耕や七年ぶりの田の匂い  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

うに取りや舟に滴る櫂雫  (石巻市向陽町・佐藤真理子)

朝露が陽に輝いて葉と別れ  (石巻市のぞみ野・阿部佐代子)

天高くシート小脇に校庭へ  (石巻市元倉・小山英智)

【2018年9月16日(日)石巻かほく掲載】

■作品を募集中

 短歌、俳句、川柳を募っております。皆さんの力作をお寄せください。

 募集要項は次の通りです。

 短歌、俳句、川柳とも必ずはがきを使い、1枚に3首・句まで。いずれも自作の未発表作品に限ります。作品は返却しません。

 作品と同じ面(裏面)に氏名(筆名の場合は本名も)・住所・年齢(学年)・電話番号を記し、〒986-0827石巻市千石町4の42、三陸河北新報社編集部・文芸係(短歌、俳句、川柳を明記)まで。連絡先は0225(96)0321。


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