俳句(9/2掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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終戦日今尚残る飛行音  (東松島市矢本・雫石昭一)

【評】この飛行音は今の音ではない。幼い時に耳にしたグラマンの音だ。この音の延長に機銃掃射があり空爆があった。戦後生まれが8割を超え、年々戦争の記憶が薄れていき、終戦日を詠んだ句も伝聞と想像の句ばかりになった。そんな中に届いた実体験に基づく貴重な一句。「終戦日」とは生と死が凝縮されている重い季語だと改めて気付かせてくれた。中七の「今尚残る」が深い。戦後はまだまだ終わっていない。

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蜩の一声われに続けよと  (石巻市南中里・中山文)

【評】カナカナとも呼ばれる蜩(ひぐらし)。郷愁や旅愁を誘うような旋律で鳴く。はかなさや寂しさを表現した句が多いが、掲句ではその澄んだ高音に元気を見いだしている。深い森や林で朝夕に鳴く。これは朝の光景か。

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秋の宵つよく瞬く火星かな  (仙台市青葉区・狩野好子)

【評】7月末、火星と地球が大接近した。不気味なほど赤く他のどの星より明るく見えた。いつもと違う火星の輝きを「つよく瞬く」と的確に捉えている。

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脳漿のゆだつて眩む炎天下  (石巻市駅前北通り・小野正雄)

【評】8月に頂いた投句で最も詠まれた景は今年の異常な暑さ。中で一番過激だったのが掲句。これほど大げさに表現してもまだまだ言い足りない気がする。

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終戦や夜叉にもなりて毛虫焼  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

祖父までの土葬の記憶秋彼岸  (東松島市矢本・紺野透光)

雑踏に身を置く術や心太  (石巻市開北・星雪)

星空を映す遠くの夜焚の灯  (石巻市大原浜・武田祥子)

北上のそのまた先の雲の峰  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

後書を先に読む癖熱帯夜  (石巻市中里・川下光子)

白壁にひび割映す秋の月  (石巻市門脇・佐々木一夫)

ひとときをうから顔寄せ花火かな  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

刑務所の窓の格子の蜻蛉かな  (東松島市新東名・東奈美)

明易し日の出に彼は畑に行く  (石巻市中里・鈴木きえ)

かっこうの近くで鳴くや吉野山  (石巻市相野谷・戸村昭子)

定年はスタートラインかき氷  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

みちのくやずんだ豆腐の若みどり  (石巻市渡波・宇都宮多美子)

渓流は大蛇と化せり台風禍  (石巻市中里・上野空)

まん丸のイタリアナスの薄紫  (石巻市小船越・三浦順子)

送り盆又逢おうねと天仰ぐ  (石巻市南中里・大山育子)

【2018年9月2日(日)石巻かほく掲載】

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