俳句(8/4掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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山裾の風吸ひあげて今年竹  (石巻市小船越・三浦ときわ)

【評】その年に生え出た新しい竹を今年竹と呼ぶ。皮を脱いで成長した今年竹は、盛夏には目に鮮やかな緑色になる。竹林の古い竹の中で、その若々しい姿は生気にあふれすがすがしい。特に日の光を通したり、風に揺られたりする時はその存在を大いに主張する。中七「風吸ひあげて」は、風と戯れる今年竹の様子。青い幹のしなりと若葉のさやぎが聞こえてくるような巧みな措辞だ。竹の躍動感に魅了されている作者。

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夏の雲可動堰にて散りにけり  (石巻市飯野・高橋芳子)

【評】川を流れてきた夏の雲が、可動堰に砕かれて散ってしまったように感じた。俳句には「ありそうなうそを想像せよ」という教えがある。この句はまさにそんな作品。伸び伸びとした発想が詩を生んだ。

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蛍とぶ闇の真下の瀬音かな  (石巻市南中里・中山文)

【評】読む者に何ら説明を要しない上質な写生句。景の取り方や視覚・聴覚の感覚把握などを、緊迫感のある伸びやかな旋律でまとめ上げた。

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郭公に声掛けられて尾瀬ケ原  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

【評】遠くの山々を眺めながら、木道の左右に展開する景色や花々を堪能したのだ。中七の表現がいい。郭公の声を句の中心に据えたことで風趣が倍加した。

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百畳のどこに座るも夏座敷  (東松島市矢本・紺野透光)

水馬の余韻残るや沼深し  (仙台市青葉区・狩野好子)

カレンダーたちまち埋まる夏休み  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

知床のチラシ手にして夏を病む  (石巻市小船越・加藤康子)

野の花や牛乳瓶の山清水  (石巻市中里・川下光子)

喪服脱ぎアイスクリームを半分こ  (東松島市新東名・板垣美樹)

小社は絵馬の音のみやませ吹く  (石巻市中里・鈴木登喜子)

帰れずに白鳥一羽夏の川  (石巻市北上町・佐藤嘉信)

伏す母の薄き笑顔や夏の月  (東松島市矢本・雫石昭一)

カジカ鳴く里にコトンと古水車  (石巻市門脇・佐々木一夫)

海猫の追いて着きたる金華山  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

ぼんぼりのごと紫陽花の大路かな  (石巻市開北・星雪)

万緑のなかの語らい喜八茶屋  (石巻市向陽町・菅野にい子)

七色のドレッシングと蝉しぐれ  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

艶やかにのうぜんかずら空を舞う  (石巻市中里・須藤清雄)

鈴なりに可憐に熟すミニトマト  (石巻市南中里・大山育子)

【2018年8月4日(土)石巻かほく掲載】

■作品を募集中

 短歌、俳句、川柳を募っております。皆さんの力作をお寄せください。

 募集要項は次の通りです。

 短歌、俳句、川柳とも必ずはがきを使い、1枚に3首・句まで。いずれも自作の未発表作品に限ります。作品は返却しません。

 作品と同じ面(裏面)に氏名(筆名の場合は本名も)・住所・年齢(学年)・電話番号を記し、〒986-0827石巻市千石町4の42、三陸河北新報社編集部・文芸係(短歌、俳句、川柳を明記)まで。連絡先は0225(96)0321。


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