俳句(7/7掲載)

短歌

【石母田星人 選】

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ふるさとのなべて息づく青田かな  (石巻市駅前北通り・小野正雄)

【評】田んぼの苗がすっかり成長して、ふるさとは見渡す限りの青田となった。風が吹くと、青々と育つ稲が波のように揺れ動いて、まさに海の状態となる。豊かに揺れるこの光景を「息づく」と捉えてみせた。この言葉には、鼓動、拍動、胎動のイメージのほかに豊作を祈る思いも込められている。

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暮六つの余韻の中の川蜻蛉  (東松島市矢本・雫石昭一)

【評】暮れ六つは江戸時代の時刻法で、日暮れ方の六つ時のこと。日没と大体同時刻にあたる。寺などの施設では鐘を6回突き人々に夜の始まりを知らせた。中七「余韻の中」という措辞は、単に夕暮れの残光を言っているのではなく、日の入り時に鳴らされていた鐘の音も意識している。川音に刺激された聴覚の句。

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杉風忌亜流を厭ふ師のありて  (東松島市矢本・紺野透光)

【評】杉風忌は、江戸時代の俳人杉山杉風の忌日。芭蕉の弟子。経済的な援助を通じスポンサー的役割も果たした。良い師との出会いは何物にも代え難い。

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万緑や朽ちしままなるまたぎ小屋  (石巻市中里・上野空)

【評】またぎの語源は数あるが、山々を一またぎにする健脚というものが分かりやすい。猟師小屋の姿を丁寧に描いて、山の深さ、緑の深さがよく見える。

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藤蔓の放蕩の先雲立ちぬ  (石巻市開北・星雪)

地下鉄の四角の空や抜けて夏  (石巻市中里・川下光子)

日暮待つ烏賊釣舟の灯のかすむ  (仙台市青葉区・狩野好子)

梅雨晴間馬放島の疵いえぬ  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

鱧筒の船の番号小渕浜  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

一片の花弁となり夏の蝶  (東松島市新東名・板垣美樹)

もう空に飛び立ちますか燕子花  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

野いばらやここから先はとおせんぼ  (石巻市門脇・佐々木一夫)

麦秋や復興街のひとところ  (石巻市恵み野・木村譲)

復興の元気いちばや鰹丼  (石巻市南中里・中山文)

里山の老鶯の語尾ながながし  (仙台市宮城野区・佐々木征子)

群れ揺れて百合が手をふる山の駅  (石巻市渡波町・小林照子)

米朝の会談ニュース草を引く  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

白魚の踊り食いとや峠宿  (石巻市中里・鈴木きえ)

土手南瓜ほっとかれても花が咲き  (東松島市矢本・菅原れい子)

むらさきの君を想えば五月晴  (石巻市福地・今野真一郎)

【2018年7月7日(土)石巻かほく掲載】

■作品を募集中

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 募集要項は次の通りです。

 短歌、俳句、川柳とも必ずはがきを使い、1枚に3首・句まで。いずれも自作の未発表作品に限ります。作品は返却しません。

 作品と同じ面(裏面)に氏名(筆名の場合は本名も)・住所・年齢(学年)・電話番号を記し、〒986-0827石巻市千石町4の42、三陸河北新報社編集部・文芸係(短歌、俳句、川柳を明記)まで。連絡先は0225(96)0321。


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