初心忘れるべからず(奥山優紀)

水紋

 私が夢を見つけたのは、高校生の時だった。

 県内の公立高校で硬式野球部のマネジャーをしていた。強いチームではなかったが、いきいき練習する選手を見るのが好きだった。

 外野手のY君は1年の時、守備練習中に「やる気がないなら帰れ」と監督に怒鳴られたら、本当に帰ってしまった。そのまま辞めるのかと思ったら頭を丸めて復帰し、2年時にはなくてはならない1番打者になった。

 体重が120キロあった控え投手のM君は、監督から減量を命じられ10キロ以上やせた。最後の夏は10番を付け、中継ぎでマウンドに上がった。

 試合で脚光を浴びなかった選手にも、そこに至るまでの物語があった。選手の成長の軌跡や頑張りをすくい取って、多くの人に伝えられたらいいなと思った。新聞記者になろうと決めた。

 あれから十数年。4月からスポーツ担当になった。石巻かほく杯中学校野球大会に始まり、高校野球、高総体、中総体など、毎日ばたばたと追われるように取材へ出掛けている。

 先日、都市対抗野球2次予選東北大会で日本製紙石巻を取材した。本選出場を逃し涙を流す選手たちの姿が、今も目に焼き付いている。書き方を工夫すれば、もっと彼らの頑張りを伝えられたんじゃないだろうか。反省しかない。

 思い描いていた姿には程遠い。どうして記者になろうと思ったんだっけ。余裕がない時にこそ思い返して取材に出掛けよう。

(奥山優紀)

【2018年6月12日(火)石巻かほく掲載】


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