俳句(6/9掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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亡き友の句座にも一つ草の餅  (石巻市大森・横山つよし)

【評】和やかな句会の風景。日当たりのいい空席は亡くなった友の指定席。今日のお題は彼の好物だった草餅。配られた餅の色、形、手触り、香り、味。何をどう詠んでも彼の思い出に突き当たる。感情を抑えて「句座にも一つ」と静かに詠んだ中七がいい。草餅に語らせる構図になり一句に幅が出た。

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馬頭碑や四肢を洗ひし山清水  (石巻市飯野・高橋芳子)

【評】トラックや機械が普及するまで、馬は農家の生活に欠かせない存在だった。馬頭観音碑は、家族の一員として扱われた馬たちの供養碑と言われている。中七以下は回想。家で飼っていた馬を山清水で洗った記憶だ。「四肢を洗ひし」には、磨かれる馬の美しい肌と幼い頃の作者の姿が活写されている。

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二の腕も農具の一つ五月晴  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

【評】「五月晴」は梅雨の期間中の晴れ間を言う。雨で農作業ができないと雑草がわが物顔にはびこる。草と格闘するたくましい腕はもう日焼けしている。

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負けられぬ雨降る前や草むしり  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

【評】こちらは梅雨目前の吟詠。曇天の下、思わず口に出た言葉をそのまま一句にしたのだろう。上五の「負けられぬ」で手ごわい雑草の存在を表現。

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奥州路句碑ぽつねんと麦の秋  (東松島市矢本・紺野透光)

青蘆に手櫛のごとき風立ちぬ  (石巻市相野谷・山崎正子)

蛙鳴く火急の用のあるごとく  (石巻市桃生町・西條弘子)

麦秋や見えかくれする学童帽  (石巻市小船越・加藤康子)

権禰宜の浅黄の袴ぼたん園  (石巻市小船越・三浦ときわ)

三日夜の籠に揺られし実梅かな  (東松島市矢本・雫石昭一)

芥子の花オルガンの音に天使来ぬ  (東松島市新東名・板垣美樹)

鍵を手に金魚の甕を先ずのぞき  (石巻市中里・川下光子)

田植え後の田を見る顔の安堵かな  (石巻市北上町・佐藤嘉信)

青葉風少年の振るバットにも  (石巻市桃生町・佐々木以功子)

小満や秘湯の宿のみがかれて  (仙台市青葉区・狩野好子)

鈴の音に導かれゆく植田道  (石巻市相野谷・戸村昭子)

寝返りをうてる幸せゆすらうめ  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

天平の襖絵光る薄暑かな  (石巻市南中里・中山文)

田舎膳庭の牡丹もおもてなし  (石巻市中里・鈴木きえ)

手をつなぐ人も老いたり夏あざみ  (石巻市中里・上野空)

【2018年6月9日(土)石巻かほく掲載】

■作品を募集中

 短歌、俳句、川柳を募っております。皆さんの力作をお寄せください。

 募集要項は次の通りです。

 短歌、俳句、川柳とも必ずはがきを使い、1枚に3首・句まで。いずれも自作の未発表作品に限ります。作品は返却しません。

 作品と同じ面(裏面)に氏名(筆名の場合は本名も)・住所・年齢(学年)・電話番号を記し、〒986-0827石巻市千石町4の42、三陸河北新報社編集部・文芸係(短歌、俳句、川柳を明記)まで。連絡先は0225(96)0321。


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