在宅被災者(河北新報社石巻総局・氏家清志)

水紋

 今春、仙台の本社から石巻総局に転勤して2カ月がたった。主に石巻市政取材を担当している。

 東日本大震災の発生から7年3カ月。最大被災地石巻については多くのメディアが報じてきた。

 異動が決まった当初、「新たな話題を見つけることは難しいのでは」との思いがあった。だが、その考えは消えた。

 4月下旬、家屋が被災したものの、自力で修理し住み続ける「在宅被災者」を支援している団体の活動を取材した。

 一見、普通の民家の床にビー玉を置くと、壁まで転がった。建築士が測ると床が傾いていた。地震の影響とみられる。「登山しているような気持ちだ」。家主の男性は諦めたように言った。

 別の家では津波で浸水した影響で、壁にかびの痕があった。たんすに小さなキノコが生えたこともあったという。住民の女性は現在、せきやたんが時々出ると訴える。

 在宅被災者は仮設住宅への入居を選ばず、自ら進んで自宅再建の道を選んだと思っていた。

 しかし、家族の介護や障害のため、避難所から被災した自宅に戻らざるを得なかった人や、自宅に戻ろうと応急修理制度を利用したため、仮設住宅へ入居できなくなった人も少なくない。現行の支援制度の金額では、自宅の補修が不完全に終わる人も多い。

 在宅被災者はこれまでも報じられてきたが状況は変わっていない。

 被災地には、今も報道すべきことが多くある。

(河北新報社石巻総局・氏家清志)

【2018年6月7日(木)石巻かほく掲載】


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