「読ませる」文章(藤本久子)

水紋

 「思うところを述べよ」。そんな問題が私が学生の頃、大学のとある講義のテストで出された。配点は60点。これ一つを書き切れば単位がもらえてしまう、ボーナスのような問題だった。

 内容は何を書いても自由なので一見楽勝に思えるが、実はなかなか難しい。文量はA3用紙の半分以上とされ、しっかりと「読ませる」文章でなくてはいけない。「今日食べた朝ご飯のことでもええで。本当に何でもいいんや」と関西なまりで笑いながら話す教授は、毎回学生の回答を楽しみにしているのだという。

 大学のテストは大半が持ち込みが可能なため、文章をある程度作ってから挑んでも構わないことになっている。開始前にどんなことを書くのか友人らに聞いて回ると、「アーモンドフィッシュについて」「好きな漫画のポイント」などバラエティーに富んだ内容で笑った記憶がある。私は「戦隊物と笑点におけるイメージカラーの重要性」について論じ、解答用紙の裏側まで達した。

 大学のテストは答案用紙が返されず点数のみが知らされる。私が書いた文章は果たして先生へ「読ませる」ことができたのか、今となっては分からない。無事に単位が取得できて現在に至るので、読んではもらえたのだろうと安心している。

 大学時代に培った文章力は役に立っているのか。新聞記者として働き始めて1カ月がたった今、正確で分かりやすい文章を書こうと日々頭を悩ませている。

(藤本久子)

【2018年5月31日(木)石巻かほく掲載】


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