俳句(5/26掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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花は葉に飛行機雲を仰ぐ里  (仙台市青葉区・狩野好子)

【評】季語「葉桜」は花が散って若葉となった頃の桜を言う。花を惜しむ思いと桜若葉のみずみずしさをめでる思いがこもる。この句の「花は葉に」は葉桜の子季語。意味に変わりはないが、花から葉への時間の流れに焦点を当てている。そこに目を向けてこの句を味わうとのんびりした里のたたずまいが見えてくる。「飛行機雲を仰ぐ」のは作者の行為なのだが、まるで里全体が見上げているように読めて楽しい。

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田の神の舞ひおりてきぬ山桜  (石巻市駅前北通り・小野正雄)

【評】春になると山神が里に下りて田の神となり、秋の収穫後に山へ帰るという神話が浮かんだ。山桜の場所は山と里との境。神への祈りの場所でもあった。新芽と同時に開花した山桜に神々しさを感じた作者。

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逃げやすき春のショールやバスを待つ  (石巻市中里・鈴木登喜子)

【評】和服だろうか洋服だろうか。軽やかな素材の春ショールを巻いてバスを待っている。上五の「逃げやすき」にまとわりつく風の様子がよく出ている。

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緑立つタイトスカートピンヒール  (石巻市中里・上野空)

【評】「緑立つ」は真っすぐに立つ松の新芽の姿を言う。タイトスカートとピンヒールは新芽からの連想だろう。勢いのある松の芯に命の躍動を感じている。

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閘門のよどみにくづれ花筏  (石巻市向陽町・佐藤真理子)

大鍋に筍太く鎮座せり  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

むらさきは古代の気品紫木蓮  (東松島市矢本・紺野透光)

藤の房絡まる風に身をゆだね  (石巻市門脇・佐々木一夫)

剪定にやや抗ひの血潮かな  (石巻市開北・星雪)

八重桜背景にあり彼の屋敷  (石巻市中里・川下光子)

憧れと覚悟を秘めて芝桜  (石巻市中里・須藤清雄)

千余名石碑をなぞる若葉風  (東松島市矢本・雫石昭一)

ホトトギス座敷わらすは今何処に  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

亀鳴くや日赤ロビーのトリアージ  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

シャンソンに憩う病後や柿若葉  (石巻市中里・鈴木きえ)

貝塚や木霊しており時鳥  (東松島市新東名・板垣美樹)

万緑のトンネルの道ペダル踏む  (石巻市のぞみ野・阿部佐代子)

乾田に豊穣願い水を張り  (東松島市矢本・奥田和衛)

平成のさいごの五月クールビズ  (石巻市南中里・中山文)

桜貝南浜にも春の風  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

【2018年5月26日(土)石巻かほく掲載】

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