俳句(5/12掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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見えますかそこから青いこいのぼり  (東松島市あおい・大江和子)

【評】子供の冥福を祈って飾られる青い鯉のぼり。今年も東松島の空には多くの鯉のぼりが泳いでいた。この句、天にのぼった子供に向かってやさしい言葉で話し掛けている。口語なのでつぶやきがそのまま句になったような趣もある。口語体で書かれた句の良さは読み手の感性に直接訴え掛けてくるところ。この句も口語表現の効果で強く胸に染みる。

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蛇行する川面光るや蝶二匹  (仙台市青葉区・狩野好子)

【評】蛇行する川を高台から眺めている。この川は雪解け水と春雨をたっぷりとたたえる大きな流れだ。雄大な景に心を奪われていると、つがいの蝶がそばにやって来た。遠景と近景、大きな川と小さな蝶を対比することで、空間の広がりをうまく表現した。

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住人の去りし仮設や茎立菜  (石巻市小船越・三浦ときわ)

【評】人のいなくなった仮設に茎立菜を見つけた。収穫の喜びを感じる者がいなくても勝手に伸びる茎。切字「や」が詠嘆とともに時間の経過を語っている。

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次々と家電の返事春の風  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

【評】お風呂の給湯器、洗濯機、冷蔵庫、ストーブなどの家電はみんなおしゃべり。一日中その電子音と付き合っていると、無性に春の風に吹かれたくなる。

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木洩れ日は森のつぶやき暮の春  (石巻市相野谷・山崎正子)

逃げ水が大河の終るところまで  (石巻市桃生町・西條弘子)

月浜の慰霊碑の空燕飛ぶ  (石巻市相野谷・戸村昭子)

畑を恋ふ種芋土間に芽をのばす  (石巻市大森・横山つよし)

老の説く由緒信じて菊根分  (東松島市矢本・紺野透光)

花冷や棚の硯の楕円形  (石巻市中里・川下光子)

菜の花の続く長堤チャイム鳴る  (石巻市小船越・加藤康子)

釣人の肩をいやすや花ふぶき  (石巻市飯野・高橋芳子)

別れ霜草食む駒の顔やさし  (東松島市矢本・雫石昭一)

春の夢バリバリ壊す段ボール  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

下校する子どもらの列山笑ふ  (石巻市桃生町・佐々木以功子)

若楓坂道駆けて鍛へけり  (東松島市新東名・板垣美樹)

棹差して湖水を乱す花見舟  (石巻市門脇・佐々木一夫)

地の物と言う贅沢や海胆・鮑  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

墓までの近道ありて黄水仙  (石巻市中里・鈴木登喜子)

芦の角野焼きに眠り覚まされて  (石巻市北上町・佐藤嘉信)

【2018年5月12日(土)石巻かほく掲載】

■作品を募集中

 短歌、俳句、川柳を募っております。皆さんの力作をお寄せください。

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