俳句(4/14掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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百枚のソーラーパネル陽炎へり  (石巻市相野谷・山崎正子)

【評】陽炎(かげろう)は、日差しの中で遠方が揺らいで見える現象。この言葉は万葉集にも詠まれており、幻想的ではかないものを暗示する枕ことばとしても使われた。陽炎とソーラーパネルの取り合わせは斬新。パネルの存在感を前面に出すことで、陽炎に付きまとう移ろいやすい感傷性を巧みに抑えている。

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鳥引くや水にのこりし山の影  (石巻市小船越・三浦ときわ)

【評】「鳥引く」は「鳥帰る」と同じ意味で、春になって渡り鳥が北へ帰って行くことを指す。この句、鳥の帰ったあとの水面を描いているが、作者の目にはまだ鳥たちが見えている。優雅な姿や声などが次々と頭に浮かんでいる。そこにいない鳥たちを実像化しているのは「水にのこりし」の絶妙な措辞。

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放心の一刻があり春渚  (石巻市桃生町・西條弘子)

【評】のどかな春のなぎさに立つと、ふっと波音が消える時がある。魂が抜けたように感じるあの一瞬は人間の根源的な愁いにも通じるものがある。

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夫よそる味噌汁旨し初桜  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

【評】夫のこしらえたあたたかいみそ汁を味わう。窓外には冬を乗り越えてやっと開いた桜の花。開花の喜びとみそ汁のうまさが全身に染み渡る。

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家中の鏡覗くや山笑ふ  (石巻市中里・川下光子)

啄木忌パレットに溶く風の色  (東松島市矢本・紺野透光)

七年の復興の地や麦青む  (東松島市矢本・雫石昭一)

生きるとは力の限り田を起す  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

震災を語れば長い遠霞  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

大地震の復興論や花筵  (石巻市大森・横山つよし)

十センチ伸びて中学孫の春  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

春うらら子の制服の届きけり  (石巻市桃生町・佐々木以功子)

手を引かれカバン踊るや花の道  (石巻市南中里・中山文)

夢に見る母校やわが家震災忌  (石巻市小船越・加藤康子)

満開の白梅りんと学舎に  (仙台市青葉区・狩野好子)

蕗のとう友と南部の旅終る  (石巻市中里・鈴木登喜子)

生若布かがやく海に茹でにけり  (石巻市飯野・高橋芳子)

堤防の芝生に春の色兆す  (石巻市北上町・佐藤嘉信)

春一番仮設の屋根も悲鳴あげ  (石巻市小船越・浮津文好)

日和山哀しみ消ゆる花吹雪  (石巻市南中里・大山育子)

【2018年4月14日(土)石巻かほく掲載】

■作品を募集中

 短歌、俳句、川柳を募っております。皆さんの力作をお寄せください。

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 短歌、俳句、川柳とも必ずはがきを使い、1枚に3首・句まで。いずれも自作の未発表作品に限ります。作品は返却しません。

 作品と同じ面(裏面)に氏名(筆名の場合は本名も)・住所・年齢(学年)・電話番号を記し、〒986-0827石巻市千石町4の42、三陸河北新報社編集部・文芸係(短歌、俳句、川柳を明記)まで。連絡先は0225(96)0321。


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