春雷(山家達也)

水紋

 その連絡は春の訪れを告げる嵐とともに訪れた。

 大学の同期Tから「地元でやりたかったことが形になりつつある」と送られた一文。それだけでうれしさ8割、残りは言葉にも形にすることもおぼつかない嫉妬や焦燥感だった。

 彼は、長野県飯田市の出身で「遠山郷」と呼ばれる集落で育った。高齢化率が50%を超え、人口流出が進む。一方で、800年以上続く国の重要無形文化財の奇祭「霜月祭り」や、豊かな自然が魅力的な場所だ。

 Tは大学を卒業後、地元企業で働きながら「古里を盛り上げるために」と、遠山郷の特産物であるジンギスカンのPRや体験交流事業に取り組む組織の結成に尽力。先日、事業が第一歩を踏み出した。

 私の周囲でも若者が石巻を元気にしようと奮闘している。

 山形県を中心に活動する若手芸術家集団の山形藝術界隈(げいじゅつかいわい)は、石巻市中央2丁目のギャラリー「石巻のキワマリ荘」で1年間の展示活動を行い、東北の現代アートの拠点を目指し頑張っている。

 滋賀県出身で昨年石巻に移住した園田凌さん(24)は、4月にCOMMON-SHIP橋通りでカレー店を開業すると意気込んでいる。

 東日本大震災から7年が経過した。多くのものを失った場所だからこそ、多くの可能性がある街にしたい。嵐が過ぎれば暖かな日差しが待つ春になる。Tの活躍とともに若者の活動が地域で花を咲かせることを祈る。

(山家達也)

【2018年3月27日(火)石巻かほく掲載】


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