明日の君と(久野義文)

水紋

 「きのうの夜、事務所から電話があって、今度の舞台の主役は君だと。びっくりしました」

 今でも信じられないという彼女の表情は輝いていた。今、高校1年生。

 最初の出会いは彼女が中学生の時だった。ミュージカル「赤毛のアン」のオーディションに合格。その時から「女優になるのが夢」と語っていた。その夢を夢のままに終わらせるのではなく、自分の力で女優への階段を一歩一歩、上り始めた。

 東京にある劇団「ハーベスト」に入団。10代、20代の女性だけの劇団だ。彼女は最年少である。自分に、周囲に甘えることなく、学業と両立させながら、学校が休みの日は自宅と東京を1人で往復。レッスンに励み、自分を磨いてきた。

 その一生懸命さ、熱い思いが実った。今は本番に向けて1人で東京に暮らし、連日、稽古に明け暮れている。母親は「たぶん頑張っているでしょう」と娘を信頼する。

 己の力を信じて、ひたむきに努力する。その結果、道が開ける。10代だからこそ持つパワー、エネルギーに圧倒される。

 葛岡有さん。彼女が初めて主役を務める舞台は28日、東京の下北沢にある劇場で開幕する。等身大の高校生の役だ。タイトルは「明日の君とシャララララ」。とても弾けた明るいタイトルだ。そう、明日が来ない日はない。

 千秋楽が4月1日。彼女自身、1年生から2年生になる。また新たな始まりだ。君の前には、無限の可能性が広がっている。

(久野義文)

【2018年3月15日(木)石巻かほく掲載】


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