風化(青山未来)

水紋

 東日本大震災から間もなく7年。

 今でも友人との間で震災の話はタブーになっている。私から聞くこともないし、話すこともない。

 昨年9月、語り部活動をしている東北文化学園大1年の添田あみさん(20)を取材した。

 熱心に耳を傾けていた一人の大学生の言葉が印象に残っている。「人は声から忘れていくって本当なんですね。亡くなった友人の声が思い出せない。こうして自分の中でも風化が進んでしまうんですね」

 大切な人との記憶の消え方は切ない。

 震災当時高校2年生だった私も、同級生を亡くした。顔は思い出せるのに、声が思い出せない。自分の中での風化を実感してしまい、怖くなった。

 声の次は顔、そして思い出-。刻々と流れる月日とともに、薄れゆく記憶をとどめるには、何度も思い出すこと。やはり、自分の思いを言葉で紡ぎ出すことは大切なのだと思い知らされた。

 語り部は並大抵の気持ちではできないし、とても勇気のいること。だからこそ、その強い思いは聞き手に「気づき」を与えることができる。

 「『バイバイ、またね』と言って別れた友人に、翌日『おはよう』と言えるとは限らない」。添田さんは震災で得た教訓を涙ながらに訴える。

 今までは避けていた震災の話。語ること、語れないこと。一人一人震災や亡き人との向き合い方は違う。

 時間が経過した今も正しい震災の語り方は誰にも分からないのだ。

(青山未来)

【2018年3月6日(火)石巻かほく掲載】


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