ヘアドネーション(伊藤浩)

水紋

 「気付かなかったの…」と、いつも妻の機嫌を損なう。だからというわけじゃない。久しぶりに会った知人女性に声を掛けた。

 「髪切りました?」

 すると、「切りました。思い切って。軽くなったのよ」と、すがすがしい表情を見せてくれた。

 石巻市の美容院で、30センチ以上も切った。

 「なぜ」と、理由を聞いた。「ヘアドネーション」というボランティアのためだという。

 ヘアドネーションとは特定非営利活動法人「HERO」が、がんや白血病、先天性の無毛症などで髪の毛を失った18歳までの子どもたちに、オリジナル人毛医療用ウィッグを無償提供する活動で、子どもたちの笑顔を取り戻している。

 活動に賛同した彼女。大事にしていた長髪をバッサリ切った。「自分の髪が子どもたちの役に立つのであれば…」と、友人たちと協力していた。

 HEROのパンフレットによると、一人の子どもにウィッグを贈るのに、20人から30人分の髪の毛が必要。さらに、同じ質感にするための専門液によるトリートメントに、半年から1年かかる。賛同者の善意で、子どもたちにプレゼントが届くのは、最短でも1年以上かかるという。

 「カットするまでにはまたしばらく時間を要しますが、これからも協力していきたい」

 支援の手を差し伸べ、他人のために尽くす。笑顔で話す彼女の言葉が心に染みた。髪の量は減ったが、魅力はさらに増した。

(伊藤浩)

【2018年2月6日(火)石巻かほく掲載】

◇Hair Donation(ヘアドネーション) | NPO法人HERO http://hairdonation.hero.or.jp


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