俳句(2/3掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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喪帰りの影吸はれゆく寒夕焼  (東松島市矢本・紺野透光)

【評】冬の夕焼の中でも寒中の夕焼はひときわ赤が鮮やか。強烈な色彩が胸に染みるが、たちまち薄れてはかない印象も残る。その赤に包まれながら喪帰りの道を急ぐ作者。中七「影吸はれゆく」には突然訪れた別れへの複雑な思いが乗る。一瞬の景の切り取りではなく、映画のワンシーンのような趣がある。

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子よ孫よ十をこえたる雑煮椀  (石巻市小船越・三浦ときわ)

【評】家族そろった正月の光景。テーブルにはお節料理と多くの雑煮椀が並んだ。いつも静かなわが家に大勢の笑い声が響く。作者が心待ちにしていた幸せな時間だ。この句、椀の数に焦点を当ててほかはあまり語っていない。その省略の効果で、家中にあふれる笑顔と作者の喜びが生き生きと伝わった。

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芦原と大河眼下に鷲の舞  (石巻市北上町・佐藤嘉信)

【評】鷲は鳥類の中で最も体が大きくて勇猛。鳥の王者と呼ばれている。すっきり晴れ渡った雄大な景が浮かぶ。鷲の目を借りて石巻を俯瞰(ふかん)している作者。

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七草に唱える台詞母ゆずり  (石巻市大森・横山つよし)

【評】粥(かゆ)に入れる春の七草。囃(はや)し言葉を唱えながら刻む風習がある。その言葉の多くは鳥追いの文句だが地方によってさまざま。母から教わった大切な財産。

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凩にどんと胸貸す谷風像  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

薄切りの海鼠を食むや海深し  (仙台市青葉区・狩野好子)

夕風の弦となりたる冬木立  (石巻市相野谷・山崎正子)

この国に生きて幸せ注連飾る  (石巻市小船越・加藤康子)

白鳥のひとこえに沼みな動く  (石巻市相野谷・戸村昭子)

山へ向き手を打つことも初景色  (石巻市桃生町・西條弘子)

福寿草生きる元気を貰ひけり  (石巻市桃生町・佐々木以功子)

こつそりと膨らみをりぬ福寿草  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

初飛行爆音の渦残しけり  (東松島市矢本・雫石昭一)

扇面の裾の文様初鏡  (石巻市中里・川下光子)

ふるさとにかかる冬虹消えやすき  (石巻市向陽町・佐藤真理子)

寒夕べ淡く光りぬ下弦月  (石巻市南中里・中山文)

初暦まず句会日を記したる  (石巻市中里・鈴木登喜子)

雀来る石の手洗い厚氷  (石巻市飯野・高橋芳子)

日脚伸ぶ港の町の夫婦鍛冶  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

置いてきた古里向いて雪だるま  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

【2018年2月3日(土)石巻かほく掲載】

■作品を募集中

 短歌、俳句、川柳を募っております。皆さんの力作をお寄せください。

 募集要項は次の通りです。

 短歌、俳句、川柳とも必ずはがきを使い、1枚に3首・句まで。いずれも自作の未発表作品に限ります。作品は返却しません。

 作品と同じ面(裏面)に氏名(筆名の場合は本名も)・住所・年齢(学年)・電話番号を記し、〒986-0827石巻市千石町4の42、三陸河北新報社編集部・文芸係(短歌、俳句、川柳を明記)まで。連絡先は0225(96)0321。


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