短歌(1/27掲載)

短歌

【佐藤成晃 選】

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我なりの今年に誓う「融通無碍(ゆうずうむげ)」黒あざやかにかざす初日へ  (石巻市開北・星雪)

【評】今年こそ融通無碍に生きようとして書初めのテーマにした。「融通無碍」とは、「ものの考え方や行動が何物にもとらわれず自由でのびのびしている」ことだ。黒々と書き終わったそれを持ち上げて初日かざすといった念の入れ方に決意のほどを読み取ることもできよう。考えてみれば、我々の生活は付き合いや年中行事に絡む人間的な束縛の固まりみたいなものだ。せめて「短歌」に遊ぶ時間だけは「融通無碍」であってほしい。

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ぱっちりと目覚めてしまった夜半の二時夢の続きの歌を練るなり  (東松島市・阿部一直)

【評】高齢になって体験したことだが、夜中の目覚めは喜べない。再び寝入れないのではという心配のほうが先に来てしまうからだ。この作品の見どころは下の句。眠れない頭を作歌へ誘導してしまうところだ。それではいよいよ眠れないではないかということになるのだが、このような一首が生まれたからには、今日一日は気持ちのいいうつらうつら(、、、、、、)で暇をもてあそんでもいいのではないか。下句への切り替えの妙を見せつけられた。

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ひとつとて新たなるものなけれども余分な歳が一つ加わる  (石巻市恵み野・木村譲)

【評】年が改まっても新しく加わるものは何も無いはずと悟っている作者。「去年(こぞ)今年貫く棒の如きもの」(高浜虚子)の作者も、去年も今年も変わらないんだと看破していたのもかも。高齢を喜ぶ暦上の言葉に「還暦」「古希」「米寿」「傘寿」などあって、お祝い事と位置付けて寄り合いの種にしてきた。一族のものが誰かのことを祝って飲むお祝い事は、昔はあちこちで見かけたものだった。いまの日本には長寿をよろこぶ文化があるのだろうか。

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津波来た狭庭(さにわ)に確(しか)と車輪梅土を掴んで深く根を張る  (多賀城市・佐藤久嘉)

「運勢」の今日の言葉をかみしむる「今日を維持する」のみでは惜しい  (石巻市向陽町・後藤信子)

生さばを開いて寒の風に干す手作り干物と書いて送ろう  (石巻市羽黒町・松村千枝子)

松の内過ぎてもうれし持ちのよき松水仙に祝いの千両  (石巻市大門町・三條順子)

いつだって訃報(しらせ)は突如やってくる感謝の意を添え白き花置く  (東松島市・菅原京子)

あの日から嫌いになりし「日和山」眼下の「更地」「太平洋」も  (石巻市向陽町・中沢みつゑ)

透きとおる小さき翅(はね)をうち振るい雪虫飛べり近づきみれば  (石巻市駅前北通り・庄司邦生)

小ゆき舞う窓越しに見るぼうたんの赤き花芽はすでにふくらむ  (仙台市青葉区・岩淵節子)

正月は孫子ら集えどつかの間それぞれの生活(くらし)引き留められず  (石巻市中央・千葉とみ子)

歌習い短歌盛らんと皿拭けば海の残した茜(あかね)の雲が  (石巻市駅前北通り・津田調作)

里からの年賀の便りうれしくて繰り返し読み宝の箱に  (仙台市泉区・米倉さくよ)

風花はふわりふわりと舞い降りてわが掌(てのひら)で露ときえさる  (石巻市丸井戸・高橋栄子)

新春の箱根路走る若きらの仲間の絆たすきに掛けて  (女川町・木村くに子)

返事せぬ仏との会話も七年目黄泉(よみ)の国では会いにも行けず  (石巻市中里・高橋日出晴)

はつらつと傘寿の会のにぎにぎしあす逝く人も混ざりいるやも  (石巻市桃生・三浦多喜夫)

傍らに女孫(まご)はべらせての空の旅北アルプスが眼下にみゆる  (東松島市・川元とき江)

おさな画く馬の絵たのし馬車に乗り空かけめぐる遠き日の夢  (石巻市丸井戸・佐々木あい子)

【2018年1月27日(土)石巻かほく掲載】

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