俳句(1/20掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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地吹雪や老いたる力こみ上ぐる  (石巻市駅前北通り・小野正雄)

【評】地吹雪の中を一人歩む作者。地面から降ってくるような雪はだんだん激しさを増し視界をふさぐ。この尋常でない力に立ち向かえるのは自分の力だけ。「負けてたまるか」と一歩一歩踏み込んでゆく。秘めたる己の力に驚きを覚えた頃、家の灯が見えてきた。

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牡蠣鍋に平和な海が泡立てり  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

【評】牡蠣鍋は食材を入れたあとの火加減が大事。牡蠣のぷりぷりの食感を味わうには、鍋の縁に小さな泡を立たせながら温度を保つのがポイント。この句はまさにその状態。この鍋はおいしいこと請け合いだ。沸騰させず優しく煮るさまを中七以下で巧みに表現。食の句はこのようにうまそうに詠みたい。中七「平和な海」には当然、復興の日々が重なる。

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百歳を祝う一粒年の豆  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

【評】まいた後に年の数だけ食べる風習がある節分の豆。山となった一粒一粒が輝いて見える。一茶の句<をさな子やただ三つでも年の豆>が浮かんだ。

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ほほえみてさらりくぐりて去年今年  (石巻市開北・星雪)

【評】遠くから集まってきた家族の笑顔の中、大みそかはあっという間に過ぎ去った。年の変わり目にある漠とした感触がうまく言いとめられている。

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平和こそ守るべきもの初山河  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

上げ潮や鮭は小川にあばれ入る  (石巻市相野谷・戸村昭子)

初日の出再建の街照らしをり  (東松島市矢本・雫石昭一)

なわとびの声のはずむや煤払い  (仙台市青葉区・狩野好子)

農継ぐと寒九の雨に甥帰る  (東松島市矢本・紺野透光)

コンビニの傘立ての傘冬旱  (石巻市中里・川下光子)

初夢や記憶の中の郷に居て  (石巻市蛇田・末永くにゑ)

津波禍の街に新駅年新た  (石巻市南中里・中山文)

山の湯や朝日に雪の散りかかる  (石巻市中里・鈴木登喜子)

風花を追いて青空眺めおり  (石巻市門脇・佐々木一夫)

砂浜の連凧百や千の民  (仙台市宮城野区・佐々木征子)

雪もよい見えかくれする七つ森  (石巻市和渕・丁子タミ子)

高望みせずに暮らせと獅子の舞  (石巻市大門町・三條順子)

焼芋を買いて指まであたためり  (石巻市渡波町・小林照子)

煮魚のギョロリとした目寒の入  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

雪虫のいのちをのせし肩の先  (東松島市矢本・菅原れい子)

【2018年1月20日(土)石巻かほく掲載】

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 短歌、俳句、川柳を募っております。皆さんの力作をお寄せください。

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 作品と同じ面(裏面)に氏名(筆名の場合は本名も)・住所・年齢(学年)・電話番号を記し、〒986-0827石巻市千石町4の42、三陸河北新報社編集部・文芸係(短歌、俳句、川柳を明記)まで。連絡先は0225(96)0321。


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