俳句(1/6掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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消しゴムのますます丸く去年今年  (石巻市向陽町・佐藤真理子)

【評】下五「去年今年」は新年の季語。大みそかの一夜にして去年と今年が入れ替わることを言う。この句、比喩的な俳趣が覗けて面白く読める。それは消しゴムに思いを託しているからだ。消しゴムという物の持つ象徴力を借りて、思いを投影して語らせている。「ますます丸く」の表現が絶妙。

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落葉道左右の足の音違ふ  (石巻市小船越・三浦ときわ)

【評】一歩山道に入れば、落葉がたくさん積もっている。その上を踏むとクッションがきいて足裏に心地よい。同時に落葉は優しい音を立てる。感触を楽しみながら歩き続けた作者は左右の足音の違いに気付く。鋭敏な聴覚と言えばそれまでだが、音の違いを聴き分けたのは培われた詩人の耳だ。発見の一句。

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童歌の中に消えゆく雪蛍  (石巻市相野谷・戸村昭子)

【評】穏やかな日差しのなかで遊戯しながらわらべうたを歌っている子供たち。その歌声は折から飛んできた雪蛍を囃(はや)しているように聞こえる。

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冬銀河ことに濃き日の一夜干  (石巻市相野谷・山崎正子)

【評】寒さで星の輝きが一段と増した夜。そんな晩に干された魚には、風とともに銀河の流れも染み込んでゆくのかもしれない。遠近の景をうまく表現。

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冬の陽の光集める万華鏡  (仙台市青葉区・狩野好子)

初詣めつきり減りし願ひごと  (東松島市矢本・紺野透光)

嵩上げの土手に見上ぐる初日かな  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

上品山の朝日をはじく峰の雪  (石巻市飯野・高橋芳子)

三陸は平和の海や金華鯖  (石巻市恵み野・木村譲)

暁に七草の音妻の音  (東松島市矢本・雫石昭一)

ありしこと白に戻して去年今年  (石巻市南中里・中山文)

秩父夜祭人垣にゐて流さるる  (石巻市桃生町・西條弘子)

一区切りつけて玻璃越し師走空  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

大根引く畑一面子等の声  (石巻市中里・鈴木登喜子)

籠り居てにわかに忙し冬の暮  (石巻市桃生町・佐々木以功子)

病むことは生きていること冬紅葉  (石巻市大森・横山つよし)

往き来することも間遠に石蕗の花  (石巻市小船越・加藤康子)

編棒の糸かける指冬半ば  (石巻市中里・川下光子)

震災後始めし事に札納め  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

冬至粥受け継ぐ妻は母に似て  (石巻市北上町・佐藤嘉信)

【2018年1月6日(土)石巻かほく掲載】

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