長引く仮住まい(河北新報社石巻総局・鈴木拓也)

水紋

 「みんなの顔を見て雑談するのが一番のストレス解消。ジョークを言い合えるのがいい」。石巻市大橋のプレハブ仮設住宅に住む無職阿部達男さん(74)が笑顔で話す。

 集会所では毎週火曜日の午後1時半から2時間、「つながりお茶っこ会」が開かれる。仮設住宅の住民や既に出て行った元入居者が約20人集まり、カラオケや卓球バレーで交流を深める。

 主催するのは一般社団法人「石巻じちれん」。プレハブ仮設住宅の集約に伴い、住み慣れた仮設から別の仮設に転居する人が孤立しないように、1月に始めた。転入者の参加は少ないのが実情だが、住民の貴重な息抜きの場になっている。

 阿部さんは石巻市雄勝町で食堂を営んでいたが、被災して店を閉めた。再建先は市内で最も造成が遅い二子団地で、災害公営住宅が完成する来年9月ごろまでは今の生活が続く。

 震災から7度目の年越しも仮設住宅で迎える。ご近所は一人、また一人と出て行き、今は両隣とも空いている。

 「それでも隣に迷惑を掛けないように声を小さくして気を使ってしまう」と阿部さん。「この感覚分かる?」と尋ねられたが、どんな返事や相づちも軽々しく思えて言葉に詰まった。

 阪神大震災では5年で仮設住宅は解消された。誰も経験のない長期の仮住まいの苦労は、おそらく当事者にしか分からない。健康に気を付け、互いに支え合って乗り越えてほしい。

(河北新報社石巻総局・鈴木拓也)

【2017年12月21日(木)石巻かほく掲載】


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