2017/10/30~11/26 石巻市出身俳優・半海一晃さん出演、舞台「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」@東京

「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」東京公演

(左から)菅田将暉、半海一晃、生田斗真=撮影・宮川舞子

観賞記
半海(石巻出身)、座長役で魅せた
生田斗真と菅田将暉に絡む

 上演時間が2時間半なのに、休憩が2回もあることに驚いた。その訳が分かった。生田斗真(ローゼンクランツ)と菅田将暉(ギルデンスターン)、2人のセリフが膨大なのだ。

 あとでハヤカワ演劇文庫で確認したら、長いセリフは20行に及んだ。1行37字。400字詰め原稿用紙にして約2枚。それを一気呵成(かせい)にしゃべる。集中力と体力を要するのだった。消耗する分、休憩も必要とした。

 が、劇的なことは起こらない。2人はしゃべり続けるだけ。まるで漫才を見ているようでもあった。生田がボケで楽観派、菅田がツッコミで悲観派か。

 閑話休題。

 なぜ2人は、ここにいるのか。これからどこに行くべきなのか。何もせず、無駄話で人生の時間をつぶしていいのか。“それが問題である”。確かな事実は彼らを待っているのは、不条理な死だということ。でも私たちの人生がそうかもしれない。無為に過ごすうちに、死はそこまでやって来ているからだ。若者2人の運命は、私たち観客自身の運命を映し出していた。

 もう一つ確かなことがある。彼らは自分たちを待ち受ける運命を知らないが、観客は既に知っているということ。開演と同時に死に向かっていることを、見る前から知っているのだ。

 なぜ。

 ローゼンクランツとギルデンスターンは実は、シェイクスピアの「ハムレット」(1600~01年)の中の登場人物で、2人の死が告げられているからだ。

 戯曲「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」は、「ハムレット」の誕生から約360年の時を経て、英国の劇作家トム・ストッパードによって書かれたスピンオフ作品(1966年初演)だった。

 2人の前にハムレット(林遣都)、オフィーリア(安西慎太郎)、クローディアス(小野武彦)、ガートルード(立石涼子)らが現れては消える。つまり観客が見ているのは舞台の裏側だ。表側では「ハムレット」が演じられている。観客の想像をそうかきたてる、とても凝った劇だった。

 が、満席の客席には演劇好きとは違う女性たちが目立った。明らかに生田や菅田がお目当てのファンだ。2人のコミカルなシーンに歓声を上げていた。

 「2人に大いに刺激を受けている」と、舞台の先輩として役者魂を燃やしたのが石巻市出身の半海一晃。旅一座の座長役で、生田と菅田に絡む。セリフも2人に次いで多い。しかも「信じることができるものは…見たいものなんですよ」と真理を突いたセリフを吐く。2人の運命を翻弄(ほんろう)し、死へと導く。

 終演後、楽屋口で面会。「陰の主役は座長でしたね」と伝えた。そのそばを小野武彦・クローディアス国王が、さっそうと通り過ぎていった。(久)

   ◇

 小川絵梨子の新訳、演出の「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」東京公演(シス・カンパニー企画、製作)は、10月30日~11月26日、世田谷パブリックシアター(世田谷区太子堂)で行われた。11月16日昼の回を観賞した。

 ※参考文献:ハヤカワ演劇文庫「トム・ストッパードIII ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」(早川書房発行)

【2017年12月3日(日)石巻かほく掲載】


石巻市出身俳優・半海一晃さん

舞台「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」に出演する半海一晃さん

半海さん、「ハムレット」スピンオフ舞台
来月30日に開幕、東京公演
一般前売り16日から

 生田斗真さん、菅田将暉さんが共演する舞台「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」(10月30日初日)に、石巻市出身の半海一晃さん(59)が出演する。

 18日からの本格的な稽古を前に、半海さんは「今、最も勢いのある若手俳優との舞台は、とても刺激になる。全身全霊、務めたい」と意欲を燃やす。

 「覚えにくいタイトルでしょ」と開口一番。実はローゼンクランツとギルデンスターンは、シェイクスピアの四大悲劇の一つ「ハムレット」に登場する人物。

 「スピンオフみたいな作品。ハムレットの中でちょっと役目だけを果たして、殺される役だった。その2人を主役としたこの劇は、存在を問う不条理劇。自分の立ち位置はどこなのか。どこから来て、どこに行けばいいのか。初演からだいぶたつが、今だからこそ心に響く劇かもしれない」

 2人を演じるのが生田さん(ローゼンクランツ)と菅田さん(ギルデンスターン)。彼らに絡むのが半海さんの役だ。

 「旅の一座がどさ回りしていて、座長が私の役。至る所に登場しながら、2人を導いていく。狂言回し的な存在かもしれない」

 映画でも活躍する人気俳優の生田さん、菅田さんとの共演を今から楽しみにしている。主役を食う名脇役ぶりを発揮するのでは。

  「いえいえ。でも、自分が一番、面白いと、役づくりに励むのが私たち。その結果、全体として面白い舞台ができあがる」

 演出家も小川絵梨子さんと気鋭の30代だ。

 「次期新国立劇場演劇部門の芸術監督に任命されていて、とても注目されている女性の演出家。出演者の中には小野武彦さんといった先輩もいるので、今から稽古が待ち遠しい」

 ただ一つ、心配していることがある。

 「不条理劇なので難しい、取っつきにくい。眠くなる観客が出てくるのが少し怖い」

 そう言いながらも表情には余裕が漂う。役柄そのまま“座長”として観客をもハムレットのもう一つの世界に連れて行ってくれるに違いない。(久野義文)
 

■シス・カンパニー公演「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」
 10月30日~11月26日、世田谷パブリックシアター(東京・三軒茶屋駅直結)。
 初演から50年の時を経ても色あせない巨匠トム・ストッパードの傑作戯曲。
 料金(税込み、全席指定)はS席10000円、A席8000円、B席6000円。
 一般前売り開始日は16日。チケットぴあ、ローソンチケット、イープラスなどで取り扱う。
 連絡先はシス・カンパニー03(5423)5906=平日午前11時~午後7時=。

【2017年9月10日(日)石巻かほく掲載】


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