老春時代(伊藤浩)

水紋

 幼なじみに電話した。プレ真珠婚式の食事の予約をするためだ。予約がいっぱいで、残念な思いをしたが、「にぎわっているんだ」とうれしい気持ちにもなった。

 幼なじみは、東日本大震災で被災し、石巻市から塩釜湾を望む高台の閑静な住宅街に移住した。姉妹で予約制の自宅レストランを開いている。

 店名は「海いろ」。海育ちで、海の見える場所にあることからこう名付けた。「応援してくれた人たちに好きな料理で恩返ししたい」。そんな思いで開業した。

 カキやホタテ、ウニなど古里雄勝の海産物などを食材に、和食をメインに心のこもった料理でおもてなししている。家庭的な味と雰囲気が来客の心をつかんでいる。気さくな姉妹の人柄も人気の要因のようだ。口コミで評判が広がり、リピーターが多いという。うなずける。

 見知らぬ土地での生活に少なからず不安があったに違いない。が、新天地で頑張る彼女たち。無理をせず、楽しみながらマイペースでやっているのがいいのだろう。

 そんな姿から、これからの人生をいかに生きていくか、ヒントをもらったような気がしている。

 今、職場と墓場のはざまにいる。残り少ない現役生活を過ごした後、年金生活、終着点までの人生設計をどう描いていくか。青春時代を謳歌(おうか)したように、「老春時代」を充実したものにするためには、生きがいはもちろん、体力、気力、財力も必要か。

(伊藤浩)

【2017年11月30日(木)石巻かほく掲載】


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